グラミー賞のハイライトと言えば、豪華アーティストのパフォーマンス。その価値とはどんなものなのか、音楽雑誌の編集長を務め日米のミュージックシーンに精通し、現在はライブエンタテインメントの第一線で活躍する萩原要が語る。
[ 2013.1.21 ] パフォーマンス視点で観るグラミー賞授賞式
■グラミー賞授賞式のパフォーマンスはアーティストにとって一番の晴れ舞台
グラミー賞と言えば、それぞれの賞を誰が受賞したのかはもちろんですが、授賞式でのライブ・パフォーマンスも注目したい点です。
昨今、日本の音楽業界はCD、配信に関わらず音源関連ビジネスの売上げが縮小傾向にある中、ライブ・エンタテインメント関連のビジネスの売上げは、逆に右肩上がりで勢いを増しているというのが現状です。アーティストの活動の中で今後さらに“ライブ”の比重が大きくなっていく事は間違いないと言えそうです。
そんな中、そもそも洋楽偏重気味の日本のロック・ポップス界においてはライブ・パフォーマンスにおいても、海外のアーティストの影響を受け続けているのも事実です。という事は海外のトップ・アーティストたちが、ここ一番の晴れ舞台のひとつとしているグラミー賞授賞式でのライブ・パフォーマンスには、日本のロック・ポップス界のライブ・エンタテインメントの将来のいろいろなヒントが隠されているかもしれません。そんな見方もグラミー賞授賞式の楽しみ方のひとつなのではないでしょうか。
具体的なところで、まず一番わかりやすいのは豪華アーティストのコラボレーション、いわゆる共演です。昨年の第54回の授賞式ではコールドプレイとリアーナが共演、これはあえて(あくまであえてですが)日本で例えるなら“Mr.Childrenが安室奈美恵と共演!”と言えば、洋楽ファンではない方にも、その豪華さがおわかりいただけるかと思います。その歴史を遡って、個人的に一番インパクトがあったのは2004年第46回のプリンスとビヨンセの共演、これもあえて例えるなら“桑田佳祐とドリカムの吉田美和共演!”のレベルではないでしょうか。
受賞形式の音楽祭が次々と姿を消していった日本の音楽業界ですが、某TV局の音楽祭は、ここ数年“コラボレーション=共演”をテーマとして全面に押し出し好評を博しています。この音楽祭は他の出演アーティストの目の前でパフォーマンスするというスタイルも含め、グラミー賞授賞式へのリスペクトを感じずにはいられません。
萩原要
ソニー・ミュージック入社後、約20年に渡り音楽雑誌編集に携わる傍ら、PATi-PATI編集長、WHAT's IN?編集長、潟Gンタテインメントプラス プロデューサー、(株)ホールネットワーク チーフプロデューサー等を歴任。現在はZepp DiverCity(TOKYO)の支配人としてライブ・エンタテインメントを通じ音楽業界を支え続けている。
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