The 56th GRAMMY AWARDS

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グラミー賞×映画音楽

『グラミー賞・映画音楽部門に集まる世界中の才能:映像と音楽の変遷』

■国際色豊かなグラミー賞・映画音楽部門

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アレクサンドル・デスプラ(右)

ハリウッド、そしてグラミー賞は世界中の才能が集まる場所である。

昨年度グラミー賞の映画音楽部門(Grammy Award for Best Score Soundtrack for Visual Media)にノミネートされた顔触れを見ても、ダフト・パンク(フランス出身)、クリント・マンセル(イギリス出身)にライアン・ショア(カナダ出身)と続き、これら国際色豊かな他の候補者をおさえて受賞したのは、『英国王のスピーチ』を手掛けたフランス人作曲家アレクサンドル・デスプラだった。また、彼はこの年『ハリー・ポッター』シリーズの完結編『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』でも同時にノミネートされていて、近年ではアカデミー賞やゴールデングローブ賞などにもノミネートされている。まさに今売れっ子の映画音楽作曲家の一人だ。

『英国王のスピーチ』でアレクサンドルが仕上げたスコアは、ヨーロピアンらしく美しくて品があり、作品の内容とよくマッチしたものだった。まずは作品冒頭の、ジョージ4世にとって初めてとなるスピーチの録音が準備されるシーン。英国王室を象徴するように品行方正で淡々と進んでいく録音準備と、緊張している王の心情との対比のウィットが、ピアノとストリングスを中心とした通常より小編成のオーケストラと軽やかなメロディーを用いることで、繊細に表現されていた。

メロディーにはどこか懐かしく優しい響きがあり、それが主人公であるジョージ4世の人間らしさを見事に描写していたと感じた。実際にアレクサンドルは「通常人間が言語を習得していく時期、つまり幼年期を観客に連想させ、ジョージ4世が吃音症を克服していく過程に共感してもらおうとした」と、海外メディアのインタビューで語っている。また、楽器の編成だけでなく録音方法にもこだわり、作品の舞台となった20世紀初頭の雰囲気を音響的に演出するため、ジョージ4世がスピーチ録音で実際に使っていたマイクをオーケストラの録音に使用したという。

Jun Ishizeki

49th (2007)
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50th (2008)
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52nd (2010)
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54th (2012)
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