連覇を狙うスペインへの挑戦状を手にするのは。強豪国対決となったサッカー欧州選手権準決勝第2試合では、ドイツとイタリアがファイナリストの座をかけて戦う。今大会ナンバーワンの安定感と躍動感を誇るドイツと、新しいスタイルを提示して従来のアッズーリ観を打破したイタリアの対戦は、両チームともに質の高い選手を中盤に揃えているだけに、緊迫した展開の中にエンターテイメント性が期待できる一戦になりそうだ。
「我々は世界のどの国とやっても相手を打ち負かす事ができるだけの力を持っている」とは、この準決勝を控えたヨアヒム・レーヴ、ドイツ代監督の言葉だが、これは驕りから出た言葉ではなさそうだ。彼は続ける、「だからといって、それはうちが準決勝で100パーセント勝つと言う意味じゃないが、それでも、それだけの力があるんだと言う事実は、自身を与えてくれる」。恐らく、それだけドイツ代表全体を取り巻く雰囲気が充実しているのだろう。敵将チェーザレ・プランデッリ監督をして、「10年前に変革したアプローチが実を結んでいる」と言わしめる現体制下のドイツ代表にとって、これは集大成とも言える大会である。確かに、精密な機会仕掛けのように機能する彼らの中盤に死角を見つけるのは容易な事ではない。
その熟成が頂点に達しつつあるドイツに対するは、今大会の戦いぶりに新たなスタイルの胎動を感じさせるイタリアだ。中でも、澄まし顔した中盤の司令官、ピルロのパフォーマンスには目を見張るものがある。「ただ単にすごく優秀な選手というだけじゃなく、彼はゲームそのものを指揮するんだ」とヨアヒム・レーヴ監督が警戒を強める通り、今こそが、彼の全盛期なのではないかと思わせるゲームの展開能力とキックの正確さは圧巻である。
そのピルロを擁するチェーザレ・プランデッリ監督は、「我々には才知、技術の高さ、そして堂々としたフィジカルが備わっている」と、真っ向勝負の構えを崩さない。好勝負の予感は募るばかりだ。