グループ C : フランス、オランダ、イタリア、ルーマニア
消耗戦は必至。グループ突破に全力を注ぐべし
好カード揃いのC組は、全4チームに勝ち抜けの可能性がある。直接対決が第3戦にある点ではフランスとイタリアが有利だが、例のごとくスロースターターぶりを見せるようでは足元をすくわれかねない。
挑戦者の立場で挑むルーマニアは、一戦一戦に全力でぶつかるのみ。若いオランダは主力選手の調子次第だが、波に乗ったら優勝も狙える実力がある。
いずれにせよ、消耗戦は必至。決勝トーナメントのことを考える余裕はない。
フランス
FIFAランキング(2008年2月時点) |
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7位 |
過去のEURO出場回数 |
6回 |
EUROでの最高成績 |
優勝 |
大会結果 | |
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1960年 | 4位 |
1964年 | 予選敗退 |
1968年 | 予選敗退 |
1972年 | 予選敗退 |
1976年 | 予選敗退 |
1980年 | 予選敗退 |
1984年 | 優勝 |
1988年 | 予選敗退 |
1992年 | グループリーグ敗退 |
1996年 | ベスト4 |
2000年 | 優勝 |
2004年 | ベスト8 |
ユニフォーム | |
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ジダンなき後も変わらぬベテラン頼み
レーモン・ドメネク監督は、1998年W杯、EURO2000の優勝メンバーにこだわり続けている。2006年ドイツワールドカップ後に入れ替わった先発メンバーといえば、引退を表明したジダン、バルテズのみ。
今大会も同国最多キャップ数を更新中のDFテュラム(36)を筆頭に、GKクペ(35)、MFマケレレ(35)、MFヴィエラ(31)ら30代のベテランが中心となることは確実だ。だが、メンバーは同じでも、やっているサッカーは全く違う。ジダンの才能を最大限に生かした2006年とは違い、今のフランスは堅い守りと両サイドMFのスピードを生かした堅守速攻型のチーム。ボランチにはラサナ・ディアラや、トゥラランなど手堅い選手が出現。システムも、トップ下を置く4-2-3-1から横並びの4-4-2に変わっている。
1984年大会の皇帝プラティニ、2000年大会のジダンと、優勝時のフランスには絶対的な10番が君臨していた。果たして、ジダンなき後の今大会で新たな10番は現れるのだろうか。
虎視眈々とレギュラーを狙う若手たち
世代交代の進まないフランスだが、決して若手が育っていないわけではない。ジダン2世の呼び声高いMFナスリ、卓越したドリブルテクニックを持つMFベン・アルファ、そして規格外の大型ストライカー・ベンゼマと、2006年ドイツワールドカップでブレイクしたMFリベリのごとく今大会の新星となり得る有望株はいるのだ。
大会中には様々なトラブルが起こり得るため、ひょんなことから彼らが主役に躍り出ることがあるかもしれない。
オランダ
FIFAランキング(2008年2月時点) |
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9位 |
過去のEURO出場回数 |
7回 |
EUROでの最高成績 |
優勝 |
大会結果 | |
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1960年 | 不参加 |
1964年 | 予選敗退 |
1968年 | 予選敗退 |
1972年 | 予選敗退 |
1976年 | 3位 |
1980年 | グループリーグ敗退 |
1984年 | 予選敗退 |
1988年 | 優勝 |
1992年 | ベスト4 |
1996年 | ベスト8 |
2000年 | ベスト4 |
2004年 | ベスト4 |
ユニフォーム | |
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一度乗ったら手が付けられない魅惑のオレンジ軍団
ピッチの横幅を最大限利用したボール回し、両ウイングを生かしたサイド攻撃で世界を魅了してきたオランダ。だが、結果より理想を重視する性格からか、ここ一番での勝負強さに欠ける側面がある。試合中に得たPKを2度失敗し、PK戦の末に敗れたEURO2000のイタリア戦が際たる例だ。また、若いチーム特有の好不調の波も弱点の1つ。
FWロッベン、FWファン・ペルシー、MFファン・デル・ファールトら天才肌の選手は、乗った時には手が付けられない活躍を見せる一方、劣勢の場面で苛立ちから自滅するパターンが少なくない。大会を通してチームが安定したパフォーマンスを続けるには、GKファン・デル・サール、DFファン・ブロンクホルストら、数少ないベテラン選手のフォローが鍵になるだろう。
なお、マルコ・ファン・バステン監督は今大会後の退任が決定している。1988年大会決勝で伝説のボレーシュートを決めた彼は、20年ぶりの栄冠を手土産に勇退できるだろうか。
FWが多すぎて選びきれない?
オランダが抱える慢性的問題、それはFW不足ならぬFW過多にある。ウイングにこだわる国民性がゆえ、センターFWの出場枠は常に1つ。にもかかわらず、このポジションに続々と良い選手が出てくるため、歴代の代表監督はエース選びに悩まされてきた。
今大会もファン・ニステルローイ、フンテラール、フェネホール・オフ・ヘッセリンク、バベル、カイトと駒数は豊富。現監督が同国史上最高のFWなだけに、その選択に注目が集まる。
イタリア
FIFAランキング(2008年2月時点) |
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3位 |
過去のEURO出場回数 |
6回 |
EUROでの最高成績 |
優勝 |
大会結果 | |
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1960年 | 不参加 |
1964年 | 予選敗退 |
1968年 | 優勝 |
1972年 | 予選敗退 |
1976年 | 予選敗退 |
1980年 | 4位 |
1984年 | 予選敗退 |
1988年 | ベスト4 |
1992年 | 予選敗退 |
1996年 | グループリーグ敗退 |
2000年 | 準優勝 |
2004年 | グループリーグ敗退 |
ユニフォーム | |
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カテナチオは健在。変わらぬスタイルで頂点を目指す
世界最高と名高いGKブッフォンと、2006年バロンドール&FIFA世界最優秀選手に輝いたカンナヴァーロらが形成する堅守「カテナチオ」。伝統の守備で相手の攻撃を受け止め、中盤の底からキラーパスを配給するピルロ、大型ストライカー・トーニらの個人技を生かした速攻で、少ないチャンスから得点を奪う。
効率性を追求した結果主義のサッカーで、世界屈指の成績を残しながら、常に「強いけどつまらない」との批判にさらされるのがアズーリの宿命だ。守り一辺倒のサッカーが批判された2000年大会決勝では、後半ロスタイムの失点で逆転負けを喫したことで「罰が当たった」とまで叩かれた。
一方、4度目の栄冠を手にした2006年ドイツワールドカップでは、全7試合を僅か2失点で乗り切り、世界に守りの美学を誇示している。前回大会も、グループリーグ敗退に終わったものの、1勝2分と負けてはいない。1968年以来40年ぶりの優勝を目指す今回も、そのスタイルは変わらないだろう。
カッサーノ、問題児から救世主へ?
カッサーノが輝きを取り戻しつつある。ローマ、R・マドリードと行く先々でトラブルを起こし、類稀なる才能を台無しにしてきた彼だが、今季移籍したサンプドリアで完全復活。本大会直前の5月に、2006年6月以来の代表復帰を果たした。
前回大会の対ブルガリア戦、後半ロスタイムに決勝点を決めた彼は、直後にグループリーグ敗退の事実を知ると、人目をはばからず号泣した。あれから4年、大人になった神童はリベンジの機会に燃えているはずだ。
ルーマニア
FIFAランキング(2008年2月時点) |
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13位 |
過去のEURO出場回数 |
3回 |
EUROでの最高成績 |
ベスト8 |
大会結果 | |
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1960年 | 予選敗退 |
1964年 | 予選敗退 |
1968年 | 予選敗退 |
1972年 | 予選敗退 |
1976年 | 予選敗退 |
1980年 | 予選敗退 |
1984年 | グループリーグ敗退 |
1988年 | 予選敗退 |
1992年 | 予選敗退 |
1996年 | グループリーグ敗退 |
2000年 | ベスト8 |
2004年 | 予選敗退 |
ユニフォーム | |
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死のグループでは最下位候補も、安定感は随一
予選12試合で26ゴールと破壊力のある攻撃を見せた一方、オランダとの首位決戦では、粘り強いディフェンスで2試合共に完封。9勝2分1敗と抜群の安定感で、グループ首位通過を果たし、8年ぶり3度目の本大会出場を決めた。
チームの中心は、昨夏R・マドリード、バルセロナらが争奪戦を繰り広げた末にインテルへ移籍したDFキヴ、薬物使用による長期の出場停止から復活したFWムトゥ。他、得点力にも長ける長身CBゴイアン、豊富な運動量で右サイドをかき回すMFニコリツァなど、無名ながら能力の高い選手が揃っている。
キヴの正確なキックがもたらすセットプレーからの得点、そしてムトゥの個人技を生かした速攻は、強豪揃いのグループに組み込まれた本大会でも十分に通用するはず。また、本命として勝利が義務付けられた他国に対し、アウトサイダーとしての立場で挑めることも有利に働くだろう。ノープレッシャーのダークホースが大番狂わせを起こす可能性は大いにあり得る。
ヴィクトル・ピツルカ監督の8年越しの出場
問題児ムトゥを誰もが尊敬するチームリーダーに変貌させ、個々の能力は高いがまとまりに欠けていたチームを戦う集団に変えたヴィクトル・ピツルカ監督。前回代表を率いた際も2000年大会の予選突破を決めた彼は、当時の主力だったハジやポペスクとの対立により、本大会を前に辞任に追い込まれていた。
今回も予選突破後に去就問題が持ち上がったが、無事2010年まで契約延長。万全のバックアップを受け、自身初の大舞台に挑むことになる。