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アルゼンチン2「豊穣のラプラタ大草原を行く」いよいよ長距離列車グラン・カピタン(ビッグ・キャプテン)号で、ブエノスアイレスからウルグアイ国境の町ポサーダスを目指す。列車はウルグアイ河とパラナ河に挟まれた「アルゼンチンのメソポタミア」と呼ばれる豊かな大地を走る。沿線に点在する温泉地、牧場や史跡は、近年観光開発が進められつつあるが、その魅力はまだ国外にはあまり知られていない。終着のポサーダスからは、世界遺産のサンイグナシオ・ミニやイグアスの滝を訪ねる。
ブエノスアイレスBuenos Aires
南米の数ある大河の河口にできた豊穣の地
ラプラタ河の河口に位置するブエノスアイレス。「ラプラタ」とはウルグアイ河、パラグアイ河、パラナ河をはじめとする無数の支流を含む巨大な流域の河口部を意味します。これらの大河が作り上げた豊穣の大地へのスタートは、ブエノスのフェデリコ・ラクロセ駅。スブテA線の丸の内車両で向かいます。

グラン・カピタン(ビッグ・キャプテン)号(ラプラタ河沿岸鉄道)
El Gran Capitan - Trenes del Litoral

グラン・カピタン(ビッグ・キャプテン)号(ラプラタ河沿岸鉄道)El Gran Capitan - Trenes del Litoral フェデリコ・ラクロセ駅から、終着ポサーダスまでは26時間の旅。出発すると、列車は草原地帯をひた走ります。車窓を流れる景色は、無限の大地とゆったり流れる雲。まるで「母を訪ねて三千里」そのものです。
列車の外観はアルゼンチン国旗そっくりで、真中の太陽が鉄道会社TEAのマークになっただけ。国家を代表する交通機関、ということでしょうか。車両は寝台車、特等車、一等車、ツーリスト車に分かれ、個人客が車を運ぶための車両専用車も連結されています。食堂車では、列車の旅ならではのアルゼンチン料理が楽しめます。
フェデラシオンFederacion
3カ国に跨る豊かな水域から湧き出す温泉の町
ブエノスアイレスから約450kmにあるエントレ・リオス州の街。温泉で有名です。アルゼンチン、パラグアイ、ブラジルに跨る世界有数のグアラニ帯水域。その地下1.2kmから湧き出す温泉は、快適な43℃。1995年に大規模な温泉施設もできました。日本の温泉とは違ってプールのようですが、リューマチ、呼吸器系、神経系、皮膚疾患、メタボリックなどに効くとされ、専門の温泉療法も受けられます。
フェデラシオンの街歩きには、ジュピター号が一番。カラフルで可愛く子どもにも人気です。ジュピター号はフェデラシオン温泉の入口から出発しています。

エスタンシア
Estancia

エスタンシアEstancia 世界有数の牧畜国アルゼンチン。人口より牛が多く、肉が食事の中心です。全土にエスタンシア(牧場)があり、そこで働くのがガウチョ。アルゼンチンのカウボーイです。ガウチョ生活を体験させてくれるエスタンシアでは、ダイナミックな牛肉の串刺し料理を食べたり、先住民起源の投げ縄「ボレアドーラス」に挑戦。同じ容器のマテ茶を、ボンビージャというストローで回し飲みする「友情の儀式」を体験したら、身も心すっかりガウチョになった気分です。
ポサーダスPosadas
パラナ河に面したパラグアイとの国境の街
終着駅ポサーダスはミシオネス州の州都。パラナ河の川岸にあり、向こう岸はパラグアイのエンカルナシオン市という国境の街です。
パラナ河はかつて、世界でも珍しい国際河川列車運航船(鉄道フェリー)が列車を乗せて渡っていました。1914〜15年にイギリスで建造された、薪焚きの蒸気機関を搭載した外輪船です。当時は早朝4時から夜10時まで、1日100両の客貨車を運んでいました。残念ながらこのフェリーは1990年に鉄道・道路併用国際橋が完成して姿を消し、今ではその廃墟が残るだけです。

グアラニーのイエズス会伝道施設群 サン・イグナシオ・ミニ
San Ignacio Mini

グアラニーのイエズス会伝道施設群 サン・イグナシオ・ミニSan Ignacio Mini 1609〜1768年の間に建てられたイエズス会の伝道施設の遺跡。先住民グアラニー族とヨーロッパの文化が融合した姿を見ることができます。農業、牧畜、芸術などとともに宣教を行っていた寺院、住居、学校などの跡があり、1983年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。宣教師の目指したユートピアが本国の弾圧により崩壊していったさまは、ロバート・デ・ニーロ出演の映画「ミッション」でよく知られている通りです。

イグアスの滝
Catarata De Iguazu

イグアスの滝Catarata De Iguazu 1984年に世界自然遺産に登録されたイグアスの滝は、最大落差80m、幅4kmもある大瀑布です。ポサーダスからパラナ河沿いに車で5時間、プエルト・イグアスに到着。国立公園のビジターセンター前まで行くと、ガス駆動の「エコロジートレイン」の駅があります。ここから「悪魔の喉笛駅」までは20分。終点の遊歩道入り口から歩いて滝を見て回ります。大小無数の滝を縫うようにして遊歩道が掛けられ、壮大な水の流れをかなり間近で見られることに驚くはず。遊歩道は滝を上から眺めるルートと下から眺めるルートがあり、どちらも捨てがたい魅力があります。