食と芸術に彩られた“ベネルクス三国”を巡る極上の鉄道旅。
オランダ&ベルギー
今回は、美しい中世の街が守られ、独自の歴史と文化が息づくベネルクス三国を訪れます。レンブラントやフェルメールを輩出した芸術のオランダへ、そしてビールやチョコレート、ジビエなど美食満載のベルギーからルクセンブルクへ。市民に親しまれるインターシティや、2010年にリニューアルされた国際高速列車タリスで駆け抜けます。
食と芸術に彩られた“ベネルクス三国”を巡る極上の鉄道旅。 オランダ&ベルギー今回は、美しい中世の街が守られ、独自の歴史と文化が息づくベネルクス三国を訪れます。レンブラントやフェルメールを輩出した芸術のオランダへ、そしてビールやチョコレート、ジビエなど美食満載のベルギーからルクセンブルクへ。市民に親しまれるインターシティや、2010年にリニューアルされた国際高速列車タリスで駆け抜けます。 南部ワロン地方からルクセンブルクへブリュッセル 多くの国際機関が集まるヨーロッパの十字路カンティヨン醸造所ベルギーのビールは450種類以上もあり、1人あたりの消費量はドイツ以上です。中でもカンティヨンは、1900年から続く老舗の醸造所。この地域だけに生息する野生酵母を使った、伝統的ランビックビールの製法を頑なに守っています。なんと、麦汁を冷却槽で冷ます間、空気中の酵母が自然に根付いて発酵するのを待つのだとか。酵母の生態系を守るため、古い建物でも極力改修はしないのだそうです。 カンティヨン醸造所 ビールの熟成樽 麦汁を造るマッシング・タンク グラン・サブロン広場かつては湿地の中の砂州だったことから、サブロン(砂)の名がつきました。王宮や王立美術館に近く落ち着いた雰囲気が漂い、南東側にステンドグラスが有名なノートルダム・デュ・サブロン教会があります。周りには100を超える高級古美術商が軒を連ね、土日は骨董市も。また、5000軒のチョコレート店があるというベルギーの中でも、ここは王室御用達の有名店が集中するステイタスの高い場所です。 グランサブロン広場 チョコレート店 リエージュ 交易の中継地として栄えたワロン地方の中心都市リエージュ・ギユマン駅市内に5つある駅の中でも、高速列車網の拠点を成す主要駅です。鉄骨とガラスで流線型を描く独創的な駅舎は、スペインの名建築家サンティアゴ・カラトラバの設計。タリスやインターシティなど長編成の高速列車に対応するために2000年頃から改装を始め、完成まで10年を要しました。中世そのままのリエージュの町並みとは一線を画す、巨大でモダンなデザインが目をひきます。 ギユマン駅 ギユマン駅 構内から外を臨む プランス・エベック宮殿11世紀のリエージュ君主、スワーブ・ノジエ司教の宮殿。リエージュの歴史的建造物の中でもひときわ威風堂々としています。中庭の柱廊が素晴らしく、その柱頭彫刻はエラスムスが聖職者の堕落を風刺した著作「痴愚神礼讃」に想を得たものといわれています。現在は州政府庁舎、裁判所として建物が使われているので、内部は一般公開していません。 プランス・エベック宮殿 中庭の柱廊 タペストリーが飾られた室内 人形劇場ベルギーは人形劇が盛んで、19世紀から各地域で独自に発展してきました。リエージュではお人好しの道化師「チャンチェ」が主人公です。チャンチェは黒い帽子とブルーのスモック、赤ら顔がトレードマーク。リエージュの方言を話し、心優しく、ユーモアにあふれたヒーローです。騎士物語、宗教劇など演目はいろいろですが、いつもチャンチェが腹黒い支配者や悪魔を倒し、拍手喝采を浴びるのです。 チャンチェの人形劇 騎士の人形 ラ・バット日曜朝市ムーズ川の岸辺、ラ・バットでは日曜に朝市が開かれます。規模が大きく、オランダやドイツからも買い出しにくる人がいるほどの賑わい。露店の種類も野菜、肉、魚、パン、チーズ、雑貨、キジやウサギなどの家畜、骨董、日用品などなど何でもあります。リエージュ風ワッフルなど、ファストフードをつまみながらそぞろ歩けば、午前中だけでは時間が足りないほど。 リエージュ・ワッフルの店 ディナン 中世の伝統が残る絵画のような町デュルビュイリエージュ近郊のデュルビュイは、端から端まで10分で歩ける「世界一小さな都市」。深い渓谷に包まれ、石畳が残り、人口500人足らずと「村」のようですが、中世から法制と交易システムが確立された「都市」として登録されています。高級レストランやホテルが多く、ジビエの季節は世界中から美食家が訪れることでも有名。名物のタンポポジャムは、蜂蜜のような優しい味がします。 石造りの家並み ジビエ タンポポジャム アドルフ・サックスの生家中世後期から精巧な金属細工を生産していたディナン。真鍮・銅細工をフランス語でディナンドリーと呼ぶのは、この土地にちなんでいます。ディナン生まれのアドルフ・サックスは、1840年代にクラリネットからサクソフォンを発明しました。アドルフ・サックス通りに立つ巨大なモニュメントは、もちろんディナンドリーで造られたものです。 アドルフ・サックスの生家 サックスのモニュメント アドルフ・サックス像 フレイエル城城館は16世紀ルネッサンス様式、庭園は18世紀フランス様式。14世紀のナミュール伯爵から20世代に渡って引き継がれ、今はボナール男爵夫妻が住んでいます。ロココ様式の小礼拝堂や、1675年にルイ14世が滞在した部屋が有名ですが、3段テラスの庭園が素晴らしく、ワロン地方で世界遺産に最も近いといわれています。 ロココ様式の小礼拝堂 時代を見つめてきた調度品 アンヌヴォワ城17世紀にアロワ家が建てた城ですが、1758年からの城主シャルル・アレクシ・ド・モンペリエが、庭園設計の知識を駆使して本格的造園に着手。イタリア式・イギリス式・フランス式が共存する、表情豊かな庭園を完成させました。ポンプを一切使わず土地の高低差だけを利用した噴水や滝、250年間絶え間なく流れ続ける水路など技術的にも評価が高く、ワロン地区の重要文化財に指定されています。 アンヌヴォア城 ルクセンブルク 3つの国に囲まれた小さな城塞都市ルクセンブルク中央駅神奈川県とほぼ同じ広さのルクセンブルク。中央駅は首都のターミナル駅として、国鉄のほとんどの路線やTGVなどの国際列車が発着しています。ネオバロック様式の駅舎は1907〜13年に建てられ、大きな時計塔がランドマークになっています。 ルクセンブルク駅 TGV
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