食と芸術に彩られた“ベネルクス三国”を巡る極上の鉄道旅。
オランダ&ベルギー
今回は、美しい中世の街が守られ、独自の歴史と文化が息づくベネルクス三国を訪れます。レンブラントやフェルメールを輩出した芸術のオランダへ、そしてビールやチョコレート、ジビエなど美食満載のベルギーからルクセンブルクへ。市民に親しまれるインターシティや、2010年にリニューアルされた国際高速列車タリスで駆け抜けます。
食と芸術に彩られた“ベネルクス三国”を巡る極上の鉄道旅。 オランダ&ベルギー今回は、美しい中世の街が守られ、独自の歴史と文化が息づくベネルクス三国を訪れます。レンブラントやフェルメールを輩出した芸術のオランダへ、そしてビールやチョコレート、ジビエなど美食満載のベルギーからルクセンブルクへ。市民に親しまれるインターシティや、2010年にリニューアルされた国際高速列車タリスで駆け抜けます。 首都ブリュッセルから北部フランダース地方へブリュッセル 多くの国際機関が集まるヨーロッパの十字路タリスアムステルダムに戻り、タリスでブリュッセルへは約2時間の旅。ユーロスターや世界一の高速列車TGVも発着する、ブリュッセル南駅へ向かいます。タリスは北ヨーロッパ11都市を結ぶ高速列車で、他にパリ、ケルン間などを時速300kmで走行。一等車では無線LANが無料で使える他、食事、専用コンセント、タクシー予約、数カ国語の新聞など、各種サービスが充実しています。 高速列車タリス ブリュッセル南駅 グランプラスギルド(同業組合)ハウス、96mの鐘楼がそびえる市庁舎、王の家と呼ばれる市立博物館など、15〜17世紀の歴史的建造物に囲まれた広場です。壮麗なゴシック建築、細かな装飾の数々は目を見張るほど。ヴィクトル・ユゴーは世界で最も美しい広場と賞賛しました。中には有名チョコレート店やカフェ、試食もできるチョコレート博物館やビール博物館も。2年に1度のフラワー・カーペットには世界中から観光客が集まります。1998年、世界文化遺産登録。 グランプラス ブラバン公の館 王の家(市立博物館) 小便小僧ブリュッセルの最長老市民、ジュリアン君。その昔、敵軍が仕掛けた爆薬の導火線におしっこをかけて消化した、勇気ある少年を称えて造られたといわれています。長年市民に愛され、酔ったフランス兵が彼を盗んだときはデモが起きたほど。ルイ15世は謝罪としてジュリアンに豪華な宮廷服を贈呈。これを機に世界中から衣装が贈られるようになり、膨大なワードローブは市立博物館に展示されています。 小便小僧 市立博物館展示の衣装コレクション ギャルリー・サン・チュベールヨーロッパ最古のショッピングアーケードで1847年完成。ガラス張りの天井から明るい光が差し込み、アール・ヌーヴォー様式の格調高い装飾が印象的です。グランプラスにほど近く、高級ブランドやチョコレート店、レストラン、劇場や映画館などが並び、ブリュッセルでのショッピングには外せないスポットです。 ギャルリー・サン・チュベール レストラン街、イロ・サクレ地区 ギャルリーのチョコレート店 アントワープ 「フランダースの犬」ゆかりの町アントワープ中央駅ネオバロックの外観、鉄骨とガラスの巨大ドーム。まるで大聖堂のような中央駅は、1895年から10年もの歳月をかけて建てられ、国の重要文化財に指定されています。数年前に大改修を終え、伝統と先進性が調和した駅に生まれ変わりました。中は4層構造の吹き抜けになっていて、最上階から見下ろすと、各階の両側に4段ベッドのようにホームがあります。 アントワープ中央駅 石造りのドーム屋根 ノートルダム大寺院ベルギー最大のゴシック教会で、1352年から170余年を経て完成。123mある鐘楼は、「ベルギーとフランスの鐘楼群」として1999年に世界文化遺産に登録されています。本当は2本の塔ができるはずでしたが、南塔は資金難で断念されたそう。祭壇画『キリストの昇架』『キリストの降架』『聖母被昇天』は、フランダースの犬のネロ少年が憧れ続けたルーベンスの最高傑作です。 ノートルダム大聖堂 ルーベンス『聖母被昇天』 ルーベンス『キリストの降架』 ルーベンスの家画家が1610年から5年かけて築き、終の棲家とした邸宅とアトリエは、美術館として公開されています。画家として外交官として、輝かしい名声を手にしていた彼のもとには、各国の貴族や芸術家も訪ねてきました。そんなプロフィールを伺わせる宮殿のような室内には、豪華な調度品やインテリアが品良く並んでいます。ダイニングルームの肖像画は、彼が残した数少ない自画像の1枚です。 ルーベンスの家 中庭 ルーベンスの家 アトリエ ブルージュ 中世の景観をそのまま残す世界遺産の街マルクト広場旧市街の中心にある、ヨーロッパで5本の指に入る美しい広場です。中央に立つ銅像は、ヤン・ブレーデルとピーテル・デ・コーニンク。1302年にフランスの圧政から独立を掲げて立ち上がったブルージュの英雄です。南に鐘楼、東に州庁舎など歴史的建造物が囲み、一帯は「ブルージュ歴史地区」として2000年、世界文化遺産に登録されています。 ヤン・ブレーデルとピーテル・デ・コーニンク像 マルクト広場 鐘楼遠くからでも目に入る鐘楼は街のランドマーク。13〜15世紀に拡張工事を繰り返し、今の3層構造になりました。地上88mの最上部からフランドル平原のパノラマが、中層部では15分ごとに鳴り響くカリヨンを間近で見ることができます。その音色は世界的に評価が高く、47個の鐘を駆使したカリヨンコンサートも人気。1999年、「ベルギーとフランスの鐘楼群」として世界遺産登録。 鐘楼 カリヨン カリヨン奏者 聖母教会この教会も、13〜15世紀に改修を繰り返して建造されました。尖塔は、塔の街ブルージュの中でも突出して高い122m。かつての豪商が金貨100枚で購入したという『聖母子像』は、イタリア以外で見るのは珍しいミケランジェロ作品です。教会の奥には、ブルゴーニュ公国シャルル突進公と娘マリーの霊廟が。美しく領民思いで誰からも愛されたマリーを、今も慕って参拝する人が絶えません。 聖母教会 ミケランジェロ『聖母子像』 霊廟 オステンド ベルギー最大の海辺のリゾート地魚市場小さな港町オステンドは、かつて海を渡ってきたイギリスの人々が、ヨーロッパ大陸へ入る玄関口でした。今は、夏になるとヨーロッパ各地からバカンス客が集まるリゾート地です。港には魚市場や屋台があり、新鮮なシーフードが美味。のれんのように魚の干物が並んでいる風景は、日本の海辺の町を思い出させます。 魚市場 ベルギー沿岸軌道北はオランダ国境のクノック・ヘイストから、南はフランス国境のデ・パンネまで、北海の海辺に沿って走るトラム。ライトレール路線としては世界一長い、68kmをゴトゴトと走ります。オステンドは1885年の開業時は始発駅。徐々に南北へ延長され、今は70の停留所を2時間20分で結んでいます。小さいながらも実は繁忙路線で、フランドル地域政府は2007年に路線網拡大計画を発表しました。 北海を走るベルギー沿岸軌道
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