食と芸術に彩られた“ベネルクス三国”を巡る極上の鉄道旅。

オランダ&ベルギー

今回は、美しい中世の街が守られ、独自の歴史と文化が息づくベネルクス三国を訪れます。レンブラントやフェルメールを輩出した芸術のオランダへ、そしてビールやチョコレート、ジビエなど美食満載のベルギーからルクセンブルクへ。市民に親しまれるインターシティや、2010年にリニューアルされた国際高速列車タリスで駆け抜けます。

水を制した叡智を見つめて アムステルダム〜ザーンセ・スカンス〜ホールン〜エンクハイゼン〜レーワルデン〜アペルドールン

聖なる大河ガンジスに抱かれて マホバ(カジュラーホ)〜アラハバード〜バナーラス

アムステルダム 自由な精神に満ちた花と運河の都
マレヘの跳ね橋

運河クルーズも人気のアムステルダム。マレヘの跳ね橋は、ゴッホが描いた『アルルの跳ね橋』を連想させる木製の橋です。1994年に電動装置が付けられ、20分おきに開閉するそう。夏の間はイルミネーションで飾られ、夜景スポットとしても有名です。

マレへの跳ね橋
マレへの跳ね橋
ボートハウス

数多くの運河に囲まれ、古くから水とともに暮らしてきたアムステルダムの人々。いたるところにボートが係留されているのは、住居として使われているためです。外から見る以上に、内部は普通の家そのもの。キッチンやベッドルームもあり、慣れてしまえば揺れも気にならないそうです。

ボートハウス外観
ボートハウス外観
ベッドルーム
ベッドルーム
アンネ・フランクの家

第二次対戦中、フランクフルトから逃げてきたアンネ・フランク一家が、ナチスの強制収容所に送られるまでの2年間を過ごした家。隠れ部屋に通じる回転式本棚や、アンネが日記をつづっていた屋根裏部屋などがそのまま保存され、当時の抑圧された生活をしのばせます。ハイシーズンには夜21時まで開館しているので、行列に並んででも見学する価値ありです。

アンネ・フランクの家 外観
アンネ・フランクの家 外観
隠れ部屋への回転式本棚
隠れ部屋への回転式本棚
家族の肖像写真
家族の肖像写真
ザーンセ・スカンス  オランダの伝統文化が学べる風車村
ザーンセ・スカンス歴史村

ザーンセ・スカンスは村全体が風車博物館のよう。17世紀頃の伝統的な木造家屋や風車を移築し、固有の生活文化を実演して見せてくれています。製粉、搾油、製材、塗料製造などさまざまな用途の風車の他、オランダ名物のチーズや木靴の工房も。入店料が必要な土産物屋もありますが、すべて村の保存資金になるそうです。

チーズ工房
チーズ工房
製油風車
製油風車
木靴工房
木靴工房
ホールン 東インド会社の拠点として栄えた港町
ローデ・ステーン広場

オランダ東インド会社の船着き場として、17〜18世紀に繁栄したホールン。この広場は町の中心地で、第4代東インド会社総督ヤン・ピーテルスゾーン・クーンの銅像が立っています。一角には、オランダの貿易港に必ずある計量所が。1609年に建てられ、船の積み荷を量る商取引の場でしたが、現在はレストランになっています。

ローデ・ステーン広場
ローデ・ステーン広場
ヤン・ピーテルスゾーン・クーン像
ヤン・ピーテルスゾーン・クーン像
蒸気トラム

ホールンとメデンブリック間を結ぶミニSL。博物館にありそうな年式の古い機関車が、現役で町を結んでいます。車窓には草原や花畑、馬の群れや草を食む羊たち。そんな景色の中、木造車両と蒸気機関車が煙を吐いて走り抜ける光景は、映画かおとぎ話でも見ているようです。駅舎の中も昔の雰囲気が再現してあり、レトロな衣装の車掌さんや駅長さんが、愛想よく写真撮影に応じてくれます。

国鉄ホールン駅
国鉄ホールン駅
1929年ベルギー製蒸気機関車
1929年ベルギー製蒸気機関車
1908年ドイツ製蒸気機関車
1908年ドイツ製蒸気機関車
エンクハイゼン

アイセル湖畔のエンクハウゼンは、ホールンやアムステルダムと同じく東インド会社の重要拠点で、長崎へも大きな帆船が出航したそうです。現在の港はとても静かで、ヨットハーバーに変わっていました。ニシン漁でも栄えた町なので、紋章にも3尾のニシンが描かれています。16世紀の要塞だったドロムダリスの塔は、今では眺めの良いレストランです。

エンクハイゼン港
エンクハイゼン港
ドロムダリスの塔
ドロムダリスの塔
アイセル湖

エンクハウゼンからアイセル湖の対岸まではフェリーの旅です。アイセル湖は北海とゾイデル湾を、大堤防アフスラウトダイクで仕切って造られました。約30kmある堤防の上は高速道路。途中に展望台があり、1930年代にこの一大事業を成し遂げた工夫たちを称える記念碑があります。世界一を誇るオランダの治水技術、それを担ったオランダ人の誇りを感じられる場所です。

大堤防アフスラウトダイク
大堤防アフスラウトダイク
レーワルデン 少数民族フリージアンの文化息づく町
計量所

アイセル湖の対岸、レーワルデンはフリースランド州の首都。北オランダの重要な牛市場があり、酪農が盛んな地域です。1598年建設の計量所は、かつてバターやチーズを量っていたことにちなみ、「チーズを作る女の像」が立っています。今は運河を臨むおしゃれなカフェとして活用されています。

計量所
計量所
チーズを作る女の像
チーズを作る女の像
オルデンホーフェ斜塔

1529年に教会を建て始めましたが、地盤沈下で傾き始めたため、塔だけ建設途中まま残したのだそう。干拓地の多いオランダらしいエピソードですが、広場に塔だけがにょっきり佇んでいるのは、大きさや傾きと相まってちょっぴり異様な雰囲気。高さ40mの頂上からの眺めは絶景です。

オルデンホーフェ斜塔
オルデンホーフェ斜塔
ホフ広場

町の中心であるホフ広場には、歴史的な建造物が多く残されています。市庁舎は1715年のバロック調の建物。カリヨンが鳴り響き、重厚な雰囲気を漂わせています。かつては地方自治体が警察のような役割も果たしていたのか、地下室は牢屋として使われていたとか。広場を見守っているのはフリースランド建国の父、ウィレム・ロードウェイク伯爵像です。

ホフ広場
ホフ広場
市庁舎
市庁舎
ウィレム・ロードウェイク伯爵像
ウィレム・ロードウェイク伯爵像
マタ・ハリの家

第一次対戦中、ドイツとフランスの二重スパイとして暗躍したマタ・ハリは、レーワルデンで一番の有名人です。パリで踊り子として名を馳せ、美貌を武器に政治家や外交官、将校を翻弄。重罪を科せられ処刑されましたが、果たして本当にスパイだったのか、真実は謎とされています。

マタ・ハリの生家
マタ・ハリの生家
マタ・ハリ像
マタ・ハリ像
アペルドールン 洗練された町並みの“ロイヤルシティ”
ヘット・ロー宮殿

アペルドールンが“ロイヤルシティ”と呼ばれる所以は、この宮殿。1685年にオランダ総督ウィレム3世の別邸として建てられ、以後代々オラニエ家の夏の離宮として使われてきました。王室の華麗な暮らしをしのばせる、贅沢な調度品やインテリアに目を奪われること請け合いです。幾何学模様のフランス式庭園には花が咲き乱れ、優雅な散歩が楽しめます。

ヘット・ロー宮殿
ヘット・ロー宮殿
オランダ総督ウィレム3世の寝室
オランダ総督ウィレム3世の寝室
フランス式バロック庭園
フランス式バロック庭園
デ・ホーヘ・フェルウェ国立公園

オランダ最大の自然保護区。5500ヘクタールの広大な大自然が、野生の動植物もそのままに保護されています。森、ヒース野原、草原、砂丘などさまざまな景色の中をサイクリングしていると、野うさぎや野生の鹿が現れることも。富豪クローラー・ミュラーが狩猟のために滞在した、聖ヒューベルトゥス狩猟館もぜひ見学したいものです。

聖ヒューベルトゥス狩猟館
聖ヒューベルトゥス狩猟館
クローラー・ミュラー美術館

国立公園内にある近代的な美術館は、美術愛好家だったクローラー・ミュラー夫妻が、自身のコレクションと建物を国に寄贈したものです。目玉は『アルルの跳ね橋』『糸杉』など275点以上のゴッホ作品。他にもピカソ、ルノワール、モネなどが見逃せません。庭園にはロダンやムーアの野外彫刻があり、箱根の彫刻の森美術館の手本になったといわれています。

クローラー・ミュラー美術館
クローラー・ミュラー美術館
ゴッホ『自画像』
ゴッホ『自画像』
野外彫刻
野外彫刻
アムステルダム ザーンセ・スカンス ホールン レーワルデン アペルドールン