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Pickup Players 注目選手

Pickup Players 注目選手

ナダル/マレー

ナダル 写真:アフロ
マレー 写真:AP/アフロ

■ナダルは厳しい、マレーは連覇に意欲十分

 ウィンブルドンを展望するのは難しい。全仏オープンの前には、グランドスラム同様にトップ選手総出のクレーコートを舞台にしたマスターズシリーズが続き、それが彼らのコンディションや力関係を占う材料になるが、その全仏のあとウィンブルドンまでのわずか2週間にはATPツアー〈250〉の大会が計4大会あるだけだからだ。

 ただ、間違いなく言えることは、全仏の終盤まで残った選手にとっては非常に困難な状況が待ち受けているということだ。クレーで消耗しきった体を、全く異なる芝のプレーに順応させなくてはならない。ラファエル・ナダル(スペイン)が08年と10年に全仏とウィンブルドンの連覇を果たし、09年にはロジャー・フェデラー(スイス)はがそれをやってのけたが、それ以前は1980年のビヨン・ボルグまで遡らなくてはならない。

 そしてナダルもまた、この2年はウィンブルドンで2回戦を突破できていない。ローランギャロスに全力を注ぐナダルにとって、短期間にピークをもう一度構築するためには究極のモチベーションが必要だ。

 昨年、イギリス人として77年ぶりのウィンブルドン制覇を果たしたアンディ・マレー(イギリス)は、直前の全仏を欠場し、クイーンズの優勝で自信をつかんでウィンブルドンに乗り込んだ。今年は全仏でベスト4まで勝ち進んだが、マレーの場合はウィンブルドンのほうが本番だから意味合いが異なる。ここまで背中の手術によるブランクの影響があったが、グランドスラム3大会ぶりのベスト4進出は、疲れを残すよりもむしろウィンブルドンに向けての自信レベルを引き上げたに違いない。

ジョコビッチ/フェデラー

ジョコビッチ 写真:ロイター/アフロ
フェデラー 写真:AP/アフロ

■昨年2回戦敗退のフェデラーは万全

 ノバク・ジョコビッチ(セルビア)はどうだろう。過去2年は、生涯グランドスラムのかかった全仏に比重を置いていたことは間違いない。ウィンブルドン優勝は3年前のことだ。どこまで気持ちを切り替えられるか。実は、全仏で準優勝に終わってウィンブルドンで優勝するというケースは、同一年の全仏とウィンブルドンの連覇と同じくらい稀だ。それをやり遂げたのは06年と07年のフェデラーだが、それ以前は84年のジョン・マッケンローが最後。両者に共通するのは、芝と相性抜群のプレースタイルでウィンブルドンへの思い入れが強いこと。だからこそ可能だったといっていい。

 そのフェデラーだが、全仏の4回戦で敗れた直後から「心はもう芝」と語っており、恐らく万全の準備で乗り込んでくるだろう。昨年まさかの2回戦負けを喫したことを思えば、何が起こってもおかしくはないが、フェデラーへの期待がもっとも膨らむ場所であることは疑う余地がない。

錦織圭

錦織圭 写真:AP/アフロ

■錦織は昨年の3回戦以上を狙いたい

 ついにトップ10入りした錦織圭(日本)も、期せずして芝に向けた準備期間をたっぷり得たが、体調が問題だ。痛めていた腰は幸い全仏オープンで悪化することはなく、最近は「もう痛みはない」と報告しているが、昨年は芝での低いバウンドへの対応で膝の負担が重なり、腰も悪化するという嫌な経験をしている。

芝での自信はクレーほど確実なものになっていないが、精神面も含めていい状態で臨めれば、昨年の3回戦以上の成績はもちろん、さらに上も狙えるはずだ。全仏明けにトップ10からは落ちたが、一喜一憂することはない。

ヤノビッチ/バブリンカ

ヤノビッチ 写真:Getty Images
バブリンカ 写真:Getty Images

■錦織世代の躍進は?

〈錦織世代〉に目を向ければ、全仏ではミロシュ・ラオニッチ(カナダ)のベスト8入りが際立つが、昨年のウィンブルドンでベスト4入りした23歳ジャージー・ヤノビッチ(ポーランド)も印象的だった。203pの長身から叩き込む弾丸サーブを軸に、ストロークも強烈で、あの巨体では考えられないくらい動きもいい。ラリー戦になるとミスが出るが、芝ならサーブがより有効で、楽なポイントが増えるだろう。思い出のウィンブルドンで再びブレークしたい。

 ランキングではフェデラーやマレーよりも上にいるのが、ファーストネームの登録をスタニスラスからスタンに変えた全豪オープンの覇者バブリンカ(スイス)だが、全仏では1回戦敗退。グランドスラム・チャンピオンとしてのプレッシャーや期待にうまく対処できずにいるようだ。ウィンブルドンでは面目躍如といきたいが、ウィンブルドンは相性が悪い。過去4年間のうち3回は1回戦敗退、残る1回も2回戦敗退だった。

 そんな世界3位を尻目に、全仏で俄然注目を高めた選手がいる。グランドスラム初のベスト4入りを果たした25歳エルネスツ・グルビス(ラトビア)。最初に脚光を浴びたのも08年にベスト8入りした全仏だったが、芝のような速いサーフェスのほうがむしろ得意だという。ジュニア時代はジョコビッチと同じドイツのアカデミーにいたことがあり、速いカーペットならそのジョコビッチにも勝っていたとか。ウィンブルドンは昨年の3回戦が最高だが、トップ10入りした勢いもあり、また新しいグルビスを見せてくれるのではないだろうか。

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