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今シーズンは全仏オープンで新鋭が次々と台頭し、ウィンブルドンではグランドスラム史上初めて90年代に生まれた者同士の決勝戦が実現した。世代交代の波を煽っているのがトップ2の不調だ。全豪オープンで優勝したリー・ナ(中国)は、全仏オープン1回戦敗退、ウィンブルドンも3回戦で敗れた。そして全米オープンは3月から悩まされていたという膝の故障で欠場とのこと。優勝争いから重要な一人が姿を消した。
セレナ 写真:Getty Images
圧倒的なポイント差でランキングトップを守るセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)も、今季のグランドスラムは不振続きで、全豪では4回戦、全仏2回戦、ウィンブルドン3回戦と散々の結果。この3大会に出場しながら一度も決勝に残らなかった年は、3大会ともベスト8に終わった01年が最後だ。
ただし、ウィンブルドンでは姉ビーナスとのダブルスを体調不良のため2回戦途中で棄権し、病気が心配されながらも、スタンフォードで復活のV。翌週のモントリオールではビーナスに09年のドバイ以来となる6対戦ぶりに敗れてベスト4に終わったが、3連覇と18回目のグランドスラム優勝がかかる全米オープン、32歳の女王の意地が試される。
ハレプ 写真:Getty Images
ブシャール 写真:Getty Images
一方で、世代交代を担う若手の中心がシモナ・ハレプ(ルーマニア)とユージェニー・ブシャール(カナダ)だ。22歳のハレプは全仏オープン準優勝、ウィンブルドンでもベスト4入りし、サーフェスを問わない安定した実力を見せつけた。
ブシャールは全豪と全仏でベスト4、ウィンブルドンで準優勝。実力・人気ともに今季大躍進、今もっとも注目されている20歳だ。だが、ウィンブルドン後初の大会となった故郷のモントリオールでは、「プレッシャーを感じた」と初戦で予選上がりの選手に敗れるメンタル面の弱さも見せた。しかし、アグレッシブなプレースタイルが魅力のブシャールの評価は揺らがないだろう。この全米でグランドスラム初制覇が期待されている。
クビトバ 写真:Getty Images
シャラポワ 写真:Getty Images
そのブシャールをウィンブルドンの決勝戦で叩きのめしたのが、3年ぶり2度目の芝の女王に上り詰めたペトラ・クビトバ(チェコ)、そして全仏決勝でハレプを破ったのが、マリア・シャラポワ(ロシア)だ。
クビトバは、まだ世界1位になったことがない選手の中で、もっともその資質が高いと言われる24歳。2011年にウィンブルドンを制したときから高い評価を得てきた。だが実は、全米オープンをはじめ夏の北米の大会とは相性が悪い。全米は過去6年連続で出場しているが2度の4回戦進出が最高。ベスト8に入ったことがないのはグランドスラムでは全米だけだ。というのも、クビトバには喘息の持病があり、湿度が大敵だからなのだとか。蒸し暑い夏のニューヨークでは本領を発揮できないのだという。天候に打ち勝ちジンクスを克服できるのか。
恋人ディミトロフとの仲睦まじく、プロデュースするスイーツブランド『シュガポワ』も売れ行き好調、世界規模でのメディアの露出度もずば抜けているシャラポワだがウィンブルドンでは4回戦で敗退。ハードコート第1戦目となったモントリオールでも1勝しただけで、コート上ではプチスランプといったところか。全米を制したのは8年前のことで、昨年は右肩の故障で欠場。2年ぶりの出場となる。
奈良くるみ 写真:Getty Images
また、日本勢で活躍が際立つ奈良くるみには楽しみな大会である。持ち味のフットワークや速い展開を生かせるハードコートは奈良が一番得意とするサーフェス。全米は昨年初出場にして3回戦進出の快進撃を見せた場所でもある。
今年も幸先よく、ワシントンで自身ツアー2度目の決勝に進出。2月のリオデジャネイロに続くツアー優勝はならなかったが、04年の全米オープン優勝者スベトラーナ・クズネツォワ(ロシア)と接戦を演じた。臀部の痛みでモントリオールを欠場したものの、シンシナティで早くも復帰しており深刻ではないようだ。グランドスラムの自己最高成績を塗り替える4回戦以上に進みたい。
奈良以外の日本勢の本戦ダイレクトはクルム伊達公子と土居美咲。伊達はグランドスラムの舞台に復帰して今年6年目だが、全米オープンだけまだ勝ち星がない。復帰後全米初勝利が叶えば、同時に今季グランドスラム初勝利にもなる。土居も全米3度目の出場で初勝利を狙う。