大会第15日
男子シングルス決勝
(スペイン)
(スウェーデン)
解説:坂本 真一 実況:鍋島 昭茂
ナダルとフェデラーの頂上決戦を夢見ていたテニスファンも、ナダルとソダーリングの決勝には納得だろう。昨年の4回戦、全仏初出場から4連覇、31連勝を重ねてきたナダルにローランギャロスで初の敗戦を嘗めさせたのがソダーリングだ。対戦成績はナダルが4勝3敗でリードしているが、ここ2戦はソダーリングが勝っている。しかしグランドスラムの決勝となれば、そんな過去は参考にならない。
ナダルにすればやっとの思いで戻ってきた全仏ファイナルの“指定席”だけに、こみ上げるものは大きく、言葉を選んで慎重だ。「たとえ負けても、決勝を戦えるだけで嬉しい。リベンジなんて考えない」――余計な感情を排除して最後の一戦に集中したいのだろう。前日恒例のファイナリスト会見もなかった。それだけ今のソダーリングは好調で、有利な材料がそろっている。
準々決勝のフェデラー戦、準決勝のベルディヒ戦とも、持ち味の強烈なサーブとフォアハンドで相手を追い詰めた。フェデラー戦では満場の観客を敵に回し、ベルディヒ戦は一時逆転されながら再逆転と、精神的な成長も見せている。
キーポイントは2つ。ソダーリングがライン際に繰り出してくるフォアハンドの逆クロスの攻撃を、ナダルがどう崩すか。ナダルにはフォアのカウンターと脚力があるが、そこで気になるのがサーフェス。今年は例年に比べ滑りやすく、脚力よりパワーに有利との声がある。もう1つは最終日、それもファイナルの舞台という独特な雰囲気。ソダーリングは昨年も経験しているが、相手がナダルとなればパリ全体を敵に回す感じになる。ただ、高地マドリッドから全仏直行のナダルは疲れがピークに達しているのも確か。ソダーリングがあきらめずに気持ちを持ちこたえれば、彼の優位が最後に花開くだろうが…。