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大会展望

王者ナダル初見参に錦織復活、デルポトロの復帰と見どころ満載!!

ラファエル・ナダル、錦織圭

ラファエル・ナダル Photo:AP/アフロ
錦織圭 Photo:CameraSport/アフロ

 日本に、東京に、有明に、テニスの秋がやって来る。今さら言うまでもないが、今回の超目玉は王者ラファエル・ナダルの初来日だ。昨年、上海の大会で日本からの記者に「僕はいつでも日本に行きたいと思っている。東京の大会に僕を招待するように言っておいて」と語ったという。期待を持たせておいていつまでも来ないトップ選手もいるのだが(ジョコビッチだって、去年の全豪オープンで「僕は日本食が大好きだから早く行きたいんだ」と言っていた)、ナダルは期待を裏切らず、トーナメント側も招待に力を注いだようで、発言から1年で約束が果たされた。

 今年は全仏、ウィンブルドン、全米と制し、最後の全米では生涯グランドスラムの達成というビッグなおまけ付き。まさにノリまくっているダントツの王者は、今のところ健康状態の不調を訴えることもなく順調にアジア入りしているから、日本のファンとしてはバンコクで無理をしないでくれと願うばかりである(ナダルの魅力は終始渾身プレーだから無茶な相談だが……)。とにかく有明は、4年前のフェデラー・フィーバーをもしのぐ熱気に包まれるに違いない。

ジョーウィルフライ・ツォンガ、添田 豪

ジョーウィルフライ・ツォンガ Photo:アフロ
添田 豪 Photo:中西祐介/アフロスポーツ

 そうはいってもナダルだけでは大会としては不完全。錦織圭の2年ぶりの出場がもう一本の柱となり、優勝を狙う数々の強者たちが揃ってショーの準備も整う。錦織はご存知の通り、ニューヨークで同年代の強豪、マリン・チリッチを破って3回戦に進出するなど復活を印象づけた矢先だけに、待ち受ける日本のファンの期待も高まる。3回戦で棄権の原因となった左脚の痛みも引いて、クアラルンプール大会、楽天オープンに向け準備を重ねているということなので、安心していいだろうか。昨年の秋は「先が見えなくて一番辛かった」と振り返る錦織、今年は活力みなぎるパワフルな秋を迎えてほしい。

 ナダルとの対戦はかなり勝ち進むまでとっておきたいが、そのほかにも錦織との対戦という視点で見るだけで楽しみな顔ぶれが来日。中でも、昨年の全米オープン・チャンピオンで、錦織とは一昨年の全米4回戦で対戦したファンマルティン・デルポトロの復帰が注目される。手首のケガで約8か月のブランクを経て前週のバンコクで復帰、続く2大会目に東京を選んだ。まだバンコクでの様子をお伝えできないのでなんとも言えないが、一昨年決勝までいってタイトルを取り損ねたコートにぜひ元気に戻ってきてもらいたい。

 ケガといえば、膝の故障でウィンブルドンから戦列を離れているディフェンディング・チャンピオンのジョーウィルフライ・ツォンガの出場状況が心配だが、万が一ツォンガ欠場の場合も、まだガエル・モンフィスがいる。さらに、全米オープンのベスト8入りで注目されたスタニスラス・バブリンカ、全仏オープンのベスト4が光るユルゲン・メルツァーなど渋い伏兵キャラに、アンディ・ロディックやレイトン・ヒューイットなど王者経験者もいる。そして日本勢は錦織だけにあらず。初のトップ100入りが目前の添田豪にとって1勝の意味は大きい。

 自国選手を支えるのも、トッププレーヤーのすごいパフォーマンスを引き出すのも、また熱い試合を作るのも観客だ。世界トップレベルのテニスをライブ観戦するチャンス、逃す手はないだろう。

文・山口 奈緒美(やまぐち・なおみ)

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