マイアミ・ヒートの本拠地アメリカンエアラインズアリーナには、ヒートが2006年のNBAファイナルでダラス・マーベリックスを下し、リーグ優勝を果たした時の写真が今も飾られている。写真の中には、シャンパンまみれのTシャツを着たエリック・スポールストラHCが、ビール片手に微笑んでいる。

　2006年当時、ヒートのアシスタントコーチだったスポールストラHCは、今度は指揮官としてチームを率いてNBAファイナルの舞台に戻ってきた。

　当時のTシャツを洗わないで持っているというスポールストラHCは、「どこにあるかなんて教えないよ、盗もうとしているのかい？」と冗談めかして語ったが、ファイナルにたどり着くまでの今季の道のりは決して楽なものではなかった。

　チームの危機かと思われたのは、奇しくも現地11月27日のマブス戦。ビッグ3結成で開幕からの快進撃を期待されていたヒートだったが、17戦で8敗目を喫しようとしていた。スポールストラHCはたまらず第3Qにタイムアウトを取り、コートに怒りながら進んでいった。その時、すれ違いざまにレブロン・ジェームスに肩をぶつけられたのだ。

　そのシーンは大きく取り沙汰され、様々な憶測が飛び交った。しかし、周囲の憶測とは裏腹に、スポールストラHCの地位が脅かされることはなく、敗れたその試合を境にヒートは12連勝の快進撃を披露。そして今、31日に本拠地で初戦を迎えるマブスとのNBAファイナルを目前に控えている。

　開幕当初の痛みを伴う“プロセス”を経た40歳の若きHCは、優勝まであと4勝と迫っている。(STATS-AP)

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