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為末大が語る!陸上・世界最高峰の大会『ダイヤモンドリーグ』

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陸上競技の最高カテゴリーの大会として、全世界14都市で開催される『ダイヤモンドリーグ』。今季も5月6日の第1戦ドーハ大会(カタール)を皮切りに、9月16日の最終戦ブリュッセル大会(ベルギー)まで、世界のトップアスリートたちが人間の限界に挑戦する。

そこで、世界選手権の男子400メートルハードルで2度の銅メダルを獲得している日本を代表するアスリート・為末大選手に『ダイヤモンドリーグ』の見どころ、そして陸上競技の魅力、自身の目標について語ってもらった。

Q:為末さんにとって、陸上競技の魅力とはなんですか?

為末:陸上は、シンプルな競技で人間の身体能力の根本を競い合うようなところがある分、残酷な面もあります。「この選手は速く走るために生まれてきたんじゃないか」という選手もたくさんいて、生まれながらのポテンシャルに差がある。でも、そこを努力で何とかカバーしようとする選手もいる。そういう選手が一同に会して競い合っているのが、陸上競技の面白いところだと思います。
  また、ある意味“人類の身体能力の高い者たちの最高峰”というところが、すごく魅力に感じている点です。

Q:では、400メートルハードルの魅力とは?

為末:ハードルの間は35メートルあり、その制限された間を何歩で走っても良いわけですから、選手によっては13歩だったり、14歩、15歩だったりする。でも走ってくると疲れて歩幅が出なくなるので、ある段階で歩数を増やしていかなければならないんです。制限が多い競技なだけに、クリエイティビティが発揮しやすい。ハードルがあるがゆえに頭を使って想像力を発揮することが有効な競技になった、というのが400メートルハードルに対する僕の印象。それが1番面白い点かなと思っています。
  そして、どんなに身体能力の高い選手でもハードルをうまく乗り越えられなければ、身体能力に劣る相手にも負けてしまう。ハードルは僕らにいろいろなドラマを与えてくれる。それが魅力的かなと思います。

Q:今、為末さんは陸上競技を楽しんでいらっしゃいますか?

為末:そうですね。ある年齢から、いつ引退してもいいという気持ちでいて、いろんな世界を見てきたんですが、いまだに陸上競技よりも面白い世界は見つからずという感じです。いけるところまで現役でいたいと思っています。

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Q:ダイヤモンドリーグの魅力とは?

為末:五輪や世界選手権は、非日常的なお祭りなんです。では、日常的に選手は何をやっているのかというと、ダイヤモンドリーグのような大会で戦っている。でも、これが日本ではあまり知られていないんですね。
  僕が初めてこの世界に触れたのは23才のときだったんですが、『こんな世界があるのか!』と思いました。世界大会の準決勝レベルが毎試合で、(男子100メートルでいうと)9秒台がポコポコ出る。『この世界に身を置きたい』という思いが強くてプロになり、欧州をずっと転戦していました。1度でもあの空気に触れたことがある選手は、あこがれてやまない、あの一員になりたいと思う大会です。

Q:欧州やダイヤモンドリーグは選手と観客の距離も近いと聞きますが、会場の雰囲気はいかがですか?

為末:ダイヤモンドリーグは純粋に陸上競技を見せるための大会で、選手はその舞台の上でパフォーマンスをする存在。見ている側としてもすごく面白いんです。僕も、いつもレースが終わったあとには、観客席に回って見ていました。『日本でも放送されないかな』と思っていたので、『ついに来たか!』と感慨深い思いでいます。観客が見ていて面白いし、そういう空気だから選手も走っていて面白い。素晴らしい大会だと思いますね。

Q:今年は世界選手権大邱大会、来年はロンドン五輪を控え、全選手が本気になる年だと思うのですが、為末選手の注目する選手はいますか?

為末:やはり(ウサイン・)ボルト(ジャマイカ)。どれぐらいまでいくのか……。大きな体で走っているので、崩れるときは崩れてしまうけれど、それをどう立て直してくるのかなという点や、そろそろ9秒6あたりで走るような若手が出てきて、対ボルト包囲網ができたときの対決なども面白いと思います。
  そして、110メートルハードルの(ダイロン・)ロブレス(キューバ)。中国の劉翔も復活してきたので、前世界記録保持者と現世界記録保持者の対決が楽しみ。400メートルハードルでは、米国勢に対して僕も含め日本勢がこの『ダイヤモンドリーグ』の場で挑んでいけたらいいなと思っています。南アフリカの選手も強くなってきているので、誰が勝つか分からないですね。僕もそのキャスティングの中の1人になりたいと思っています。

Q:為末さんにとってのこの2年間はどのように考えていらっしゃいますか?

為末:ロンドン五輪が僕にとっての大きな夢なので、五輪に向けてトレーニングをしていきたいです。そして、とにかく1つずつのレースをかみしめながらやりたいなと思っています。もう1つ欲を言えば、もう1度欧州を回りたいという気持ちがすごく強い。ぜひこの2年間で挑戦し直して、世界の潮流にもまれたいです。試合が増えたこともありますし、ダイヤモンドリーグにも出られたらいいですね。

Q:日本のファンは為末選手に期待していると思います。

為末:僕もそう願っています。若いときと同じハードルレースは作れないと思いますが、自分自身としても生まれ変わりっていうものをテーマに掲げています。戻るのではなく新しい自分をもう1回作り直そうと思ってトレーニングをしているので、33才なりのハードルレースをしたい。それが完成すれば、世界と渡り合えると思っているので、ぜひその姿を見せることができればいいです。

ウサイン・ボルト: Bongarts / Getty Images, ブランカ・ブラシッチ:PanoramiC/アフロ, アリソン・フェリックス: ロイター/アフロ
アサファ・パウエル: アフロ, タイソン・ゲイ: AP/アフロ, トロフィー: Getty Images
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