コクーン歌舞伎に新たな歴史が刻まれた。江戸世話物の名作「与話情浮名横櫛」が、中村七之助の主演、串田和美の新演出で生まれ変わった話題作。
古典歌舞伎の名作に現代的な演出を施し、新たな文化を発信してきたコクーン歌舞伎の第16弾。主演の中村七之助が34カ所の傷を負い、自らの運命に苦しみもがく男を迫力の演技で披露する。「切られの与三」の原作「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」は歌舞伎の人気演目の一つで、互いに一目惚れしてしまった与三郎とお富が別れと再会を繰り返し、さらにお家騒動も絡む大長編。通し上演が難しいこの作品に真っ向から取り組んだ。
【あらすじ】
江戸の大店の息子与三郎(中村七之助)は、家を勘当され江戸に帰ることを夢見ながら木更津で暮らしていた。そんな与三郎は浜で美しい女性・お富(中村梅枝)と出会う。お富は元深川芸者で、木更津の土地の親分・赤間源左衛門(真那胡敬二)に請け出された身だった。お互い一目で恋に落ち、密会する与三郎とお富。しかし逢瀬の現場を源左衛門に踏み込まれてしまい、捕らわれた与三郎は顔や体に34カ所の刀傷を負わされる。そして逃げ出したお富は海へと飛び込んでしまう。
3年後、生々しい傷を残したまま江戸へと戻った与三郎は、自らの傷を見せては相手を驚かす「切られの与三」となり、ごろつきの安五郎(笹野高史)とともにゆすりやたかりを働いていた。一方、身投げしたお富は、溺れているところを助けてくれた男の元で世話になっていた。そこに安五郎とともに現われた与三郎は、お富と運命の再会をする。
収録日・収録場所
- 2018年5月23日/東京 Bunkamuraシアターコクーン
出演
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中村七之助
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中村梅枝
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中村萬太郎
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中村歌女之丞
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中村鶴松
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真那胡敬二
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笹野高史
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片岡亀蔵
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中村扇雀
スタッフ
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作瀬川如皐「与話情浮名横櫛」
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補綴木ノ下裕一
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演出・美術・潤色串田和美
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音楽Dr.kyOn