底知れぬ人間の“業”の闇を描いた悲劇。大人計画のキャストが集結し、不幸に見舞われていく人々を演じる。初演から15年の時を経て2017年によみがえった衝撃作。
「大人計画」主宰の松尾スズキが作・演出する公演シリーズ“日本総合悲劇協会(ニッソーヒ)”の公演。この作品はニッソーヒによって2002年に初演されたもの。今回の上演に当たり松尾自身が書き直した。限りなく深い人間の“業”を主題とした作品で、“それ”をやらなければ物事がうまく進むことは分かっているのに、どうしても“それ”に固執し“業”を生み出してしまう人間のさがを描く。【ストーリー】
母親の介護をネタに演歌歌手として再起を目指す元アイドル土屋みどり(平岩紙)は、マネジャーの末井(皆川猿時)を乗せた自動車を運転していた。その道中、自殺願望を持つ夫・堂本(松尾スズキ)と、夫をこの世につなぎ留めようとする聡明な妻・杏子(伊勢志摩)と遭遇し、不注意から杏子をはねてしまう。杏子は脳を損傷し植物状態に。激怒した堂本はみどりを拉致し、杏子の意識が戻るまで妻になるよう強要する。
やがてみどりの周囲では、芸能界を夢見て上京したが、売春でしか生きていくことのできない兄妹・克夫(宮崎吐夢)とぽんた(池津祥子)、心が屈折したゲイの丈太郎(村杉蝉之介)、正体不明の老婦人・財前(宍戸美和公)らが不幸のループに巻き込まれていく。そんな中、堂本と末井双方と関係を持つみどりは父親が分からない子を出産するが、いつしか子どもの命を引き換えにしてでも、堂本とのわずかな触れ合いを求めるようになる。
収録日・収録場所
- 2017年8月23日/東京 東京芸術劇場 シアターイースト
出演
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松尾スズキ
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平岩紙
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池津祥子
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伊勢志摩
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宍戸美和公
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宮崎吐夢
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皆川猿時
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村杉蝉之介
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康本雅子
スタッフ
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作・演出松尾スズキ