
映画公開には検閲が必要な中国で、自由な表現を求め映画を撮る若手女性監督に密着。世界で注目を集める彼女の、新作撮影に向け奮闘する姿を追う。
巨大な市場や資本を武器に成長する中国の映画界。しかし、映画公開に検閲通過が必要な中国では、映画での自由な表現が事実上認められていない。例えば、女性監督ホアン・ジーが農村の少女たちへの性的虐待の実態を描き、若手の登竜門・ロッテルダム国際映画祭で最優秀作品賞を受賞した『卵と石』(2012年)も、社会の暗部を描いたテーマゆえ公開ができない。かつて、映画祭での上映も試みられたが警察に中止させられるなど、監視の目が光る。そんなホアンが新作に向けて動き出した。今作も農村女性の“性”というタブーを描くため、潤沢な制作資金は期待できない。しかしクオリティー向上のため一切の妥協をしない彼女は、何度もキャスティングを練り直す。また女性たちの実体験をヒアリングし、入念に脚本の内容を膨らませる。その過程で浮かび上がる社会で虐げられる女性たちの実態。少しずつ新作撮影への準備が進む中、ある大学で『卵と石』の上映会が企画される…。