今チョコレート業界に革命が起きている。パティシエ自らがカカオ豆を厳選し、焙煎から創作まですべてを手掛ける究極のチョコレート。新たな世界に挑む小山進の姿を追う。
兵庫県三田市にある「パティシエ エス コヤマ」には、週末ともなると「小山ロール」を求め1日3,000人以上の人々が訪れる。洋菓子職人の父を持ち、国内でキャリアを積んできた小山進は、日本に居ながらにして世界的ショコラティエとなった。そんな小山が今、夢中になって取り組もうとしているのが「Bean to Bar」である。世界各地のカカオ農園からそれぞれの個性豊かなカカオ豆を直接仕入れ、焙煎から製造までのすべてを自ら行なうというもの。2015年8月に訪ねたコロンビア北部。そこではアルアコ族と出会い、彼らが栽培するカカオ豆にまつわる深い歴史に触れる。カカオ豆はただ味わってもらうだけでなく、物語や音楽も絡め五感を通して魅力を伝えたいと考えることに。“味覚のアート”という領域まで高まっている小山独自のチョコレートを通じた表現は、さまざまに姿形を変えて世に出ようとしている。三田の工房での試行錯誤の日々を重ねていく小山進の情熱あふれる姿を伝える。