2015年で日韓国交正常化50周年。在日コリアン2世の梁邦彦は魂の歌「アリラン」を携えアジアからヨーロッパへと活動の場を広げていく。国境を超える音楽の力を描く。
2015年11月、パリのユネスコ本部で開催された設立70周年記念演奏会の舞台で「梁邦彦のアリラン」を奏でるのは、日本、韓国、アメリカ、フランスの演奏家たち。日本に生まれ韓国の血を受け継いだ梁邦彦だからこそ生み出せる旋律は今、多くのシーンで注目されるようになった。しかし幼い頃は、両国の間で「自分は何者なのか?居場所はどこにあるのか?」という想いを抱えて育ってきたという。音楽家としてさまざまな国の人々と活動をともにすることで、軋轢や葛藤を乗り越えお互いの価値観を認め合う中から彼が見いだしたアイデンティティーとは…。彼が「アリラン」に触れたことはオリジナル曲にも少なからず影響を与え、新曲に込めた想いは「No Boundary=境界線はない」となった。日本、韓国からアジア、そしヨーロッパへとさまざまな扉を開き、そこで受け入れられていく梁邦彦の姿から、国境や国籍を超えたしなやかさとおおらかさを感じることが出来るだろう。