巨匠・市川崑が関わった最古の作品がアメリカで発見された。その1935年製作のアニメを手掛かりに、独特の映像演出を生み出した彼の意外な原点と情熱を描く。
2014年4月、アメリカで1本の日本映画が発見された。約5分間のトーキー漫画映画『弱虫珍選組』である。この作品には作画担当として後の映画監督・市川崑が携わっていた。市川は、ウォルト・ディズニー作品を鑑賞したときの感激を手記に綴っており、アニメーションへの思い入れは強かった。アニメーターとして映画制作の第一歩を踏み出した市川は1936年にアニメ『新説カチカチ山』を音楽以外ひとりで制作。その経験が後の劇映画制作にも生かされたと証言している。例えば演出技法では、リアルな映像の中におけるデフォルメの必要性に言及。また人物を写すとき、極端に大小をつける構図についてもアニメの影響だと指摘されることがあると語っている。また、市川はアニメ同様人形劇映画も大切にしていた。番組では、最近発見された、1946年に制作を試みた未完成の作品『猫にはなってみたけれど』の絵コンテと台本を初公開する。巨匠の原点に迫る。(2015年)出演
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ナレーション石原良
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声阪脩