ウクライナ東部の紛争によりホームを追われたサッカーチーム、シャフタール・ドネツク。故郷を想い戦い続ける選手とサポーターの姿を通し、サッカーの持つ力を掘り下げる。
2014年2月以降緊迫状態が続くウクライナの紛争は、ウクライナリーグの強豪チーム、シャフタール・ドネツクの本拠地でも争いが激化。ホームのドンバス・アレナは破壊され、2015年5月時点でチームは約1000km離れた街リヴィフをホームにリーグ戦を続行する。整備が行き届かない練習場や、慣れないホテル暮らしで選手たちは、公私ともにストレスを蓄積。チームの精神的支柱ともいえるオレクサンドル・クチュル選手は、ドネツクを後にした日をつらそうに振り返る。そんな状況でも戦い続ける彼らを心の支えにしているのが、ドネツクから避難してきたサポーターたち。リヴィフのスタジアムから15kmほどのヴィニキ村にある避難民のキャンプに暮らすユーリさん一家は、家族全員が熱狂的サポーターで、苦しい避難生活の中にあっても応援に駆けつける。選手もサポーターも暗中模索の日々、サッカーがもたらす見えない力を描く。