日本人初のオスカー女優・ナンシー梅木。ハリウッドの頂点を極めた彼女が選んだ人生とは。失われたオスカー像を通してナンシー梅木の真実に迫る。
2007年、アメリカ・ミズーリ州でひとりの元ハリウッド俳優が78歳で世を去った。彼女の名はナンシー梅木。日本人唯一のオスカー俳優である。梅木は、太平洋戦争終戦後の日本でジャズシンガーとして成功。共演したペギー葉山は「憧れの人」と回想する。1955年の渡米後、オーディション番組で人気を集めレコードデビュー。58年には、出演した映画『サヨナラ』で第30回アカデミー賞助演女優賞に輝く。全米で知らぬ者はいないスターへと上りつめた梅木だが、出演していたテレビドラマが終了した1972年、彼女は芸能界からの引退を決意する。その姿勢は徹底しており、ペギー葉山ら日米の仕事関連の知人、友人の前から消息を絶ったほか、オスカー像も含め芸能界での思い出の品々をすべて処分したという。「様々な噂を払拭し真実の母を伝えたい」と彼女の息子は証言する。引退の理由には女優として、妻、母としての苦悩と決意が隠されていた…。(2015年)
出演
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語り黒木華