映画芸術を通して、祖国を描いてきた世界的巨匠アンジェイ・ワイダ。自ら設立した映画学校を舞台に、後進に伝えようとするポーランド映画の過去・現在・未来に迫る。
ワルシャワの映画製作会社が集まる一角に「アンジェイ・ワイダ映画学校」はある。1950年代、60年代に世界の映画界を席巻した“ポーランド派”の中心として活躍した巨匠、アンジェイ・ワイダが設立した学校だ。2014年の秋、この学校のリハーサル・スタジオ・コースに12人の生徒が加わった。その多くが監督やプロデューサーとして既に活躍し、年齢層も幅広い。映画界でのさらなる飛躍を目指して学校の門をたたいた。生徒たちが一番熱心に受講するのは、ワイダ本人による特別授業だ。映画芸術を通し、“祖国”を描いてきた老監督による講義。社会主義時代の経験や苦闘、そこで生み出された演出論や映画論は、今の映画人にとっても多くの示唆に富んでいる。ワイダが伝えるポーランド映画の伝統と、商業主義の時代に目指すべき道とは。そして生徒たちはワイダから何を学ぶのか。生徒たちが課題として製作する、短編映画の合評会までを追う。