三谷幸喜は語る、「彼がいなければ、完全ワンカットドラマは存在しない」と。日本屈指のカメラマン・山本英夫が肉体的にも技術的にも限界に挑戦する姿に完全密着する。
三谷幸喜をはじめ、三池崇史、北野武、園子温など多彩な監督の作品を撮影してきた山本英夫。「監督の要望であれば何でも応える」という日本屈指の映画カメラマンにとっても一筋縄ではいかないのが、完全ワンシーン・ワンカットドラマだ。100分を超える時間、一度もカメラを止めずに極限の緊張感の中で撮り続けなければならない。前作「short cut」を上回る難易度で制作された第2弾「大空港2013」の撮影における決してドラマ本編に映らないカメラマンのもう一つのドラマを描く。監督の三谷が目指す世界観を創り上げるため、山本は自らをいじめぬく。映像美にこだわった結果、撮影中に背負うカメラの重さは20キロに及ぶ。大人数の役者のセリフ、動きを全て覚え、突然のアドリブにも瞬時に対応する。この卓越した技術はいかにして生まれたのか。これまでの歩みを紐解きながら、肉体的にも技術的にも撮影監督としての限界に挑む男に迫る。(2013年)