アメリカから来日したワイン醸造家の情熱に迫る。栃木のワイナリーを日本有数の醸造所に育てた彼が北海道へ移住。理想のワイン作りに人生を懸け、試行錯誤する姿を追う。
1989年に来日し、栃木の無名ワイナリーを日本有数のものへと育て上げたブルース・ガットラヴは、数々の人気ワインを送り出してきた醸造師だ。彼が衝撃を受けたのが北海道のブドウ。近年、北海道は温暖化の影響で欧州に似たブドウ栽培の適地として注目されている。だが、日本の法律で表示されるのはブドウ原産地ではなくワイン醸造地。「良いワインが造れるのは、良いブドウがあるからなのに…」ブルースはジレンマを感じる。2009年、ブルースは北海道・空知地方への移住を決意。そこでブドウを作り、自ら醸造することにしたのだ。品種選定、土壌改良など準備を進め、醸造所の建設も始まった2012年、いよいよ勝負を懸けた初収穫の年を迎える。5月下旬に芽吹き、7月には小さな花が咲く。日照や風の通りなど自然の移り変わりを感じながら、“生きているブドウ畑”と向き合う日々。ブルースの遠大な夢が詰まった北海道ワインが、第一歩を踏み出す。