『スノーマン』などを手掛けた79歳日系人アニメーション映画監督が、ヒロシマをテーマに新作を構想。広島、ダブリン、カリフォルニア…世界をさすらった男の心の終着駅。
米アカデミー賞ノミネート歴もある、日系アメリカ人のアニメーション監督ジミー・ムラカミは79歳。彼は現在、ヒロシマを舞台にした作品に取り組んでいる。従妹を長崎の原爆で亡くし、また、広島を何度も訪ねたムラカミは、人が人の日常を奪い取ることの脅威を実感している。今回モチーフにするのは、原爆が投下された広島にアメリカ人の捕虜がいたという事実。ムラカミは、自らが少年時代に入れられたカリフォルニアの収容所跡地や、広島の街を巡り、イメージを膨らませていく。現在、アイルランドに住むムラカミは、音楽をアイルランドのミュージシャン、ザ・チーフタンズのメンバー、パディ・モローニに依頼した。ミュージシャンに思いを伝え、できたばかりのシナリオからストーリー・ボードを描き、作品に魂を吹き込んでいくムラカミ。そこには、彼ならではの思いがあった。