バレエ界の巨匠モーリス・べジャールが東京バレエ団に残した傑作「ザ・カブキ」が2012年、オペラ座に帰還。初演から26年、ベジャールが愛した日本の魂を今に継ぐ。
スピリッツを身体で表現する芸術、バレエ。日本文化を深く愛した巨匠モーリス・ベジャールらが、日本の魂(=スピリッツ)を込めて作ったバレエの傑作「ザ・カブキ」が、パリ・オペラ座で上演された。バレエの本場での舞台。そこでは、2人の日本人ダンサーが、時代を引き継いでいく。伝承されていくベジャールの思い、そしてダンサーたちの姿を追い、彼らのスピリッツに迫る。日本人なら誰もが知る「仮名手本忠臣蔵」。自己犠牲、忠義心など、日本らしさが凝縮されたこの作品を下敷きに、世界的な振付師モーリス・ベジャールが、さまざまな日本文化を取り入れバレエに仕立て上げたのが東京バレエ団の「ザ・カブキ」。その劇的な展開と独特な芸術性で、1986年の初演から世界各地で観客を驚かせ続けてきた傑作が、2012年、パリ・オペラ座で上演されることとなった。
東京バレエ団では、初演から出演し続けてきた46歳のダンサー高岸直樹が、今回の公演で「ザ・カブキ」を卒業する。一方、今回高岸らとともに主演の由良之助を演じるのが22歳の柄本弾(つかもとだん)。過去、ベジャールから直接指導を受けた高岸から、若手の新星・柄本へ。今回の公演は、これまでの蓄積が引き継がれる舞台でもある。継承される“日本の魂”は、バレエの聖地・オペラ座でどのような花を咲かせるのか。(2012年)