イタリアンスーツの仕立て職人・サルトリア。伝説の師匠・フランチェスコと、独立を目指す継承者・宮平康太郎の日々を見つめ、深遠なるサルトリア文化の美学に迫る。
イタリアの古都フィレンツェで活躍する“最後のサルトリア”フランチェスコ。サルトリアは、高度な手作業でスーツを作るイタリア独自の仕立て屋で、後継者が減っている貴重な服飾文化だ。60歳のフランチェスコは、スーツを作るすべての工程を一人で行ない、トータルで仕上げる技術を持ち、「サルトリア界の至宝」とも呼ばれている。そのフランチェスコのもとでは、日本人唯一のサルト(仕立て人)、29歳の宮平康太郎が働いている。2004年に単身イタリアに渡ってきた宮平は、フランチェスコのもとに通いつめ、技術を学んできた。今ではサルトリア文化の後継者として大きく期待されている宮平の夢は、フィレンツェに自分の工房を構えて、師匠に一人前と認められること。その工房に飾る“最高の一着”を作るため、宮平は魂を込めて仕立てを始める。