イギリス・スタンフォードの貴族の館「バーリーハウス」。国宝級のアンティークコレクションの数々と、日本人家具修復師・岩田年史の修復を究めようとする姿に迫る。
16世紀後半、時の権力者バーリー卿ウィリアム・セシルにより建てられたバーリーハウス。豪華絢爛な館には世界中から収集された家具や彫刻、絵画などが保存され観光名所となっている。コレクションを守る腕利きの修復士のひとりが37歳の岩田年史。幼いころからアンティークの魅力に取りつかれてきた岩田は、家具修復士の学位を取得できるイギリスの大学を首席で卒業。実力が認められ5年前にバーリーハウスで働きはじめた。館に住み込み、英国文化を肌で理解してきた岩田。「“修復”は“修理”ではない、今の状態を次の時代に引き継ぐこと」と語る岩田の、繊細で情熱あふれる仕事ぶりは、同僚たちからも高く評価されてきた。そんな中、ロビーにある重厚なキャビネットの修復を、岩田が担当することになった。色あせた塗装、浮いた化粧板…。岩田はクリーニングを手始めに、丁寧に作業を進めながら修復の方法を探っていく。