ダンス音楽の帝王ナイル・ロジャース。がん手術後の自らの再出発に、盟友の命日に捧げるライブとブロードウェイミュージカルを選ぶ。2つの挑戦から彼のメッセージを追う。
1970年代後半〜80年代、世界中のダンスフロアを熱狂させたCHIC(シック)のメンバーで、プロデューサーとしてもデヴィッド・ボウイやマドンナらの代表作を手掛けその才能を発揮したダンス・ミュージックの帝王、ナイル・ロジャース。しかし2010年、そのキャリアを暗闇が襲う―。突然のがん宣告により彼は、スケジュール帳を真っ白にすることを余儀なくされたのである。栄光と挫折を経験した男の、魂の物語。2011年1月にがんの手術を受けたナイル・ロジャースが、自らの再出発に選んだ2つの“新たに生まれる伝説”に完全密着。術後、ギターを弾いても腕に力が入らず、後遺症に悩まされ、絶望の淵にいたナイル。そんな彼が突き動かされずにはいられなかった2つのプロジェクトを、彼はスケジュール帳に書き込んだ。それは、「15年前のツアー中、日本で突然他界したCHICのメンバー、無二の親友バーナード・エドワーズの命日である4月18日に東京でコンサートを行なうこと」、そして「いったん頓挫していた、自らが幼少期に受けた黒人差別や壮絶な経験をも反映させた脚本でブロードウェイミュージカルへ挑戦すること」であった。プロジェクトの実現に向けて突き進むナイルの思いと、彼が見据える果て無き夢を追いかける。