驚異的スピードとパワーを兼ね備えた抜群のスイング感に加え、そのエンターテインメント性溢れるドラミングによる存在感故に、米国が生んだ20世紀最大と称される天才白人ジャズ・ドラマー。セッション･ドラマーとしても秀逸だが、生涯を通じて活動した自己のビッグバンドが残した功績は計り知れない。その高い音楽性同様に、華のあるスター性からジャズのみならずロック・シーンのドラマーからも支持される存在。1978年、オランダ、ノース･シー・ジャズ祭で収録されたこのコンサート記録はJAZZ史の中でも最も完成度の高いビッグ･バンドのショーケースのひとつである。バディ・リッチ自身、代表的なメンバー、スティーヴ・マーカス(sax)他、バディのキラー･フォース（Buddy's “Killer Force”=バディの好んだ映画のタイトルからとられ、バンド･メンバーはそう称された）を賞賛し、後に「私がこれまで持っていた最もよいバンド」と回想している。白熱するバンド演奏の中で象徴的なバディのドラム・ソロは圧巻、グルーヴ感溢れるビッグ・バンド・サウンドは全ての音楽ファンを最高潮に盛り上げる。長年の友、フランク・シナトラはバディの葬式で感動的な賛辞を送っている。「今日、忘れがたき偉大なミュージシャンの一人」と。87年死去。