伊武雅刀コメント

「60歳未満は見てはいけない番組にしようと思ったんですよ。」

タイトルの「R60」っていうのは、ちょうど僕らが60歳をみんなが越えたから60がいいかな、と思ってつけました。これからの時代って圧倒的に年寄りが増えていくはずなのに、テレビは相変わらず若者向けの番組を作ろうとしている感じがして。そういうものではなくて、本来は60歳未満は見てはいけない番組にしようとも思ったんですよ(笑)。30年前にスネークマンショーを3人で作ったときにも身近な題材を扱っていたから、結局ネタは自分たちの身近な生活の中からでてくる。今回の「老いと死」というテーマも、この年になったらそういうものが出てくるだけの話です。

今、世間は漫才ブームですよね。俺たちの漫才だってできるんじゃないかと思って、以前、克也さんとFM局で会ったときに、「漫才やろう」って言ったんですよ。とっかかりは「久しぶりになんかやろうよ」っていうところから始まったんです。

今回、映像的には、映画を作るようなクオリティーの高い画質でやりたかった。それで去年映画で一緒に仕事をしたカメラマンがいいなぁと思って声をかけて、R60スネークマンショーにも参加して頂いたんです。本来は自分たちの力でやりたかったんだけど、実際問題として自力でやると時間がかかるし、労力もかかる。1年ぐらいかけて試行錯誤するんだったらいいだろうけど、現実的じゃない。それで、若いクリエイターで、今スネークマンショーをやらせたら、きっといいものを作るんじゃないかっていう人に声をかけてみたんです。そういう意味では、今回はいろいろなクリエイターの方に声をかけて、たくさんのパワーをいただきました。

お互いに今回は、演出も始めてでしたけど、やり始めてだんだん形が見えてくると、とってもいいものになっていくと思いますよ。スネークマンショーだって始まったころはなんだか分からないうちに、徐々に形になっていきましたから。また、そのうち機会があった時に同じメンバーでやりたいですね。

かつてアルバムを作ったときは、200~300のネタから選んだけれど、今回は違いますから、スネークマンショー的な色合いからすると、実験段階といってもいいかもしれません。でも、そういう意味ではスネークマンショーの昔のネタみたいなものを期待している人にとっては、いい意味で見事に裏切ってるんじゃないでしょうか。