早朝、私がフリージャーナリストとして所属しているアジアエクスプレス通信社より、しののめ失踪に関しての取材依頼が入る。非常時なので、自衛隊はおそらく取材を拒むと踏み、米軍側からの情報を得ようと、アメリカ在住のジャーナリスト仲間に連絡した。
彼女の報告を待つ間、テレビをつけると湯田官房長官の会見が映し出された。
彼は総理代行として、威風堂々と二つの事柄を国民に約束する。
一つは、環太平洋環境会議を成功へ導くこと、もう一つは、早急なるテロ問題の解決だ。彼は改めて、テロと徹底して闘う強い意志を明らかにした。

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夕方、アメリカから彼女のレポートが送られてくる。それによれば、米軍は沖縄の航空対潜水艦作戦センター(ASWOC)のデータで、あらゆる潜水艦の動きは全て解析できる筈だと言う。とすると……米軍がしののめの行方を把握しながら、何も知らないふりをしていたことになる。アメリカは沈黙の代償として、環境会議の際、基地問題について自国優勢で話を進めようとしているのではないだろうか?
ジェニファー大統領の来日を2日後に控え、アメリカの思惑が懸念される。

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パソコンで作業中、湯田官房長官夫人、恵理子さんが「メビウス」と名乗るテロ集団により、通院途中に拉致されたと言うニュースを知る。新聞各社や政府に送られた謎のメールの送信者と同一名であることから、彼らによる犯行と推測される。
湯田官房長官が職を辞さなければ、恵理子さんは返さないという卑劣な交換条件。
官房長官はあえて事件を公表、テロの脅威には屈しないと涙ながらに訴えた。
鈴木教授の所在は未だ掴めていないが、どこかできっと彼女を案じているに違いない。

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国民の心が荒んでいる今、もしカリスマが現れたら、クーデターが勃発しても不思議ではない。だが平和に慣れ、事なかれ主義に染まった日本において、それはあり得ないと言うのが一般論だ。私も日本はクーデターと無縁であって欲しいと心から願う。

しののめの失踪、一連のテロ事件、湯田夫人拉致事件……これらは皆、新たなパンドラの箱から飛び散った災厄なのか? ジュビリアの内乱を共に経験した太刀川記者に会って、改めて問いたい。箱の底に残っていたのは、希望、絶望、それとも?……