「メビウス」と名乗る者から犯行声明らしきメールが、マスコミ各社に届いていると言う。
彼、もしくは彼らが潜水艦事件や、サイバーテロ騒動の犯人という可能性も出てきた。そんな中、那須の総理の別荘で爆破事件が起こったとのニュース。イタズラなのか、それともテロの一環なのか、案じられる所だが詳細はまだわからない。
爆破事件と聞いて、ジュビリアの殺伐とした光景が脳裏に蘇る。革命を合い言葉に、罪のない女、子どもまで死傷させる残虐なテロ。大人に認めてもらおうと背伸びした子どもの自爆ほど、悲しいものはなかった。
もし、日本にも革命を起こそうとする輩がいるとしたら……想像するだけで恐ろしい。
三枝総理について、改めて注目してみた。
父親の地盤を継ぎ、28歳で衆議院初当選。若手の頃から党の中枢を担い、いずれは日本を背負う政治家と期待を寄せられていた。総理職に就いた彼は、挙党態勢をうたいながらも、閣僚は近しい面々で固めている。
経済界とは、官房長官の実父、元経団連会長・湯田作之助氏を窓口に、太いパイプで繋がっており、党の政治資金は作之助氏を通して調達していると言われている。
その湯田作之助氏の訃報が、突然流れた。
自宅で、心臓麻痺の発作が起こり、亡くなられたと言う。長男である湯田官房長官がインタビューを行い、その様子はテレビで放映される。隙のない模範的な喪主挨拶――。
おとなしかった以前に比べ、ここ数日の官房長官は、実に前向きで堂々としている。その圧倒的な存在感に、ヒットラーやムッソリーニの様な独裁者の風格すら感じる。
鈴木教授と湯田官房長官は、旧友であり、現・湯田夫人を巡り相対した因縁の仲である。ならば、彼が官房長官の変貌について、何か知っていることはないのだろうか?
現在我が国は、空前の円高、常態化した不況、就職難、膨大な数の災害被災者など既存の不安要素に加え、未解決な事件や不穏な出来事が増える一方だ。
暗雲立ちこめる今、更なる災いが起ころうとしているのでは?
そんな心配を払拭するためにも、まずは取材をして真実に少しでも近づくことにする。