取材先は、ジュビリアの首都マズール。
反政府軍のテロリストをレポートするために訪れた。
だが、市内でテロリストに拘束されてしまい、飢えと恐怖の中、生死の境目に立たされる。
そこで、同じく囚われの身だった、毎朝新聞の太刀川春夫記者と出会う。日本人の彼がいてくれたからこそ、戦火の中、諦めずに脱出することが出来た―。
何か運命的な縁を感じ、共に帰国したいと願ったが、別々の帰国となってしまった。
その上、成田空港の航空管制システムの異常で、空港上空で待機するはめに…。

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拘束されている間に、太刀川記者自身が見たと言う「パンドラの箱」の話を聞いた。
夢のガン特効薬「パンドラ」を開発した医師。食糧危機撲滅のため、通常の4倍のスピードで成長する遺伝子組み換えトウモロコシ「GOD CORN」を産みだした学者。
二人共、周囲の人々の欲望に翻弄され、多くの災厄に遭ったそうである。そんな特殊な体験をした太刀川記者が、新たな取材ターゲットを教えてくれた。それは、自殺を防止する画期的な治療を発明した、鈴木精二という脳科学者。鈴木教授を取材したら、私も「パンドラの箱」の現場に立ち会えるかも知れない。

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ジャーナリスト魂に火のついた私は、早速、鈴木教授について調べてみる。
彼は現在、ニューボストン大学教授。日本での最終学歴は港東大学医学部。8年前、渡米した彼は、帰郷することもなく、ただひたすら研究に没頭。その甲斐あって、アメリカで彼が発明した治療は、学会でもその成果が認められている。
その彼が、私より少し前に日本に帰国したらしい。
果たして、鈴木精二教授の来日の目的は?
彼が新たな「パンドラの箱」を開くのか?
箱の底に残っていたのは、希望? 絶望? それとも?…

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