ウェリントンからフェリーで南島へ渡ると、そこは南島最北端の小さな港町。一帯は複雑に入り組む入江や小島が点在するフィヨルドが続き、マールボロ・サウンズ海洋公園に指定されています。ニュージーランドに上陸した初めてのヨーロッパ人、キャプテン・クックはこの美しい海岸線を気に入って、海峡に自分の名前を付けました。また、彼が放した羊が「羊の国」ニュージーランド最初の羊だといわれています。
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トランツ・コースタル号 |
ピクトンからトランツ・コースタル号に乗車すると、クライストチャーチまでは5時間半の旅。途中22のトンネルと175の橋を渡る長い旅です。コースタル号の展望車はオープンデッキタイプのカジュアルな車両。カイコウラ周辺では100km以上も断崖絶壁の海岸線が続き、車窓から南大西洋の絶景とともに心地よい海風が楽しめます。
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キャプテン・クック記念碑 |
ピクトンではマールボロ・サウンズの美しい景色を見物。穏やかな入江の中をクルーズ船に揺られ、ドルフィン・ウォッチングやマオリ族の文化を訪ねるツアーが人気です。シップ・コーブという入江には、イギリスの探検家キャプテン・クックことジェームズ・クックの記念碑が。彼はここを起点に南島・北島を測量して正確な地図を作成し、欧米にニュージーランドが知れ渡るきっかけを作りました。
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年間を通してさまざまな海洋生物に出会えるエリアです。カイコウラの駅舎がそのままホエール・ウォッチングツアーのオフィスになっている他、イルカと泳ぐツアー、アルバトロス(アホウドリ)など海鳥観察ツアー、オットセイのコロニー見学ツアーなどの運営会社が小さな町に点在しています。名物のクレイフィッシュ(伊勢エビの仲間)など、豊富なシーフードもぜひ堪能したいもの。
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ホエール・ウォッチング |
豊富なプランクトンのおかげで生物の楽園となっているカイコウラの海。巨大なマッコウクジラも高確率で見ることができます。大きいものでは20mにもなる巨体が悠々と泳ぎ、潮を吹く音もはっきり聞こえてくるのは壮観。尾ヒレを振り上げて潜水していく姿は感動的ですらあります。また、イルカの大群に遭遇して、曲芸よろしく派手なジャンプを見せてくれることもあります。 |
カイコウラの海岸線から羊が草を食む牧草地を抜け、トランツ・コースタル号は大都会に終着。南島最大の都市クライストチャーチは、「イギリス以外で最もイギリス的な街」「ガーデンシティ」と呼ばれる美しい街です。150年前、オックスフォード大学クライストチャーチ・カレッジの出身者が中心となって開拓したといわれ、大都市でありながらエイヴォンが今も清流を保ち、イギリスのカントリーサイドの面影を残しています。旅はここで列車を乗り換え、サザン・アルプスを越えるトランツ・アルパイン号でグレイマウスを目指します。
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大聖堂 |
高さ63mの尖塔を持つ、ゴシック様式の教会は街のランドマーク。1864年から40年かけて建設されました。内部は荘厳な雰囲気に包まれ、羊を描いたステンドグラスやタイルモザイクも一見の価値あり。高さ36mの展望台からは街を一望できます。
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フェミリード歴史公園 |
中心部の南東にある広大な歴史公園。入植時代の学校、工場、郵便局、商店など19〜20世紀の町並みが再現されています。蒸気機関車など交通関連の展示が充実しているのは、ここがニュージーランドの鉄道発祥の地だから。週末には旧式のトラムや蒸気機関車がその雄姿を走らせます。
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ハグレー公園 |
庭園都市クライストチャーチの中でも、ひときわ大きく美しい公園。日比谷公園の15〜16倍もの緑地の中にゴルフ場、テニスコート、ラグビー場、植物園などがあり、美しい並木や木立も良く保存されています。園内を優雅に蛇行するエイヴォン川を、独特の小船に乗って下る「パンティング」という舟遊びも人気。まるでイギリスの田園風景の中にいるようです。
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トラム |
この街の観光には路面電車のトラムが便利。1995年、40年ぶりに復活するや大人気となったクライストチャーチ名物です。大聖堂を起点に、アートギャラリーや博物館など、観光名所をつないで市内を循環しています。トラムに乗りながら一流シェフのフルコースが味わえる、「トラムウェイ・レストラン」も人気。
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列車はルートの最高地点、標高737mのアーサーズ・パス駅に到着。アーサーズの名は19世紀末、この峠に馬車道を開いた土木技師に由来しています。しかしその後、輸送難を解消するために鉄道建設が叫ばれ、15年もの歳月と難工事を経て1923年にレールが敷かれました。以来山岳観光の拠点となり、国立公園の滝や渓谷を訪ねるトランピング(ハイキング)や本格的な登山を楽しむ人々がたくさん訪れています。
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デビルス・パンチボウル滝 |
一帯で最も大きな滝でありながら、比較的短時間と軽装で行くことのできる人気のエリアです。滝の高低差は131m、大迫力の激しい水しぶきは「デビル」の名前通り。見上げるとものすごい轟音とともに水煙が上がり、自然の脅威すら感じることでしょう。
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サザン・アルプスを貫く8.5キロものオティラ・トンネルを抜け、ブラナー湖を過ぎると西海岸の町グレイマウスに終着します。陸海の要所として栄えた、小さいながらも西海岸の中心都市。古くはヒスイが採れるマオリの聖地で、19世紀末はゴールドラッシュで沸き返りました。ニュージーランドのポピュラーなビール「モンティース」の醸造所もこの町が発祥です。
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トランツ・アルパイン号 |
東海岸クライストチャーチから西海岸のグレイマウスへ230km、サザン・アルプスを越えてきた山岳列車トランツ・アルパイン号。観光列車としての人気は、世界の列車の旅ベスト6の1つに選ばれたほどです。魅力はなんといっても大自然の絶景。2000m級の山が連なる大渓谷の中、トンネルと鉄橋の連続を突き進めば、雄大な川の流れや深い緑、すがすがしい空気を思い切り堪能できます。オープンデッキの展望車両で自然を肌で感じるも良し、自席でワインでも飲みながらくつろぐも良し、です。
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シャンティタウン |
1865年に金が発見されると、グレイマウスは一攫千金を狙う人々で大いににぎわいました。シャンティ・タウンは、そのゴールドラッシュ当時の町を再現したテーマパーク。銀行や鍛冶屋、牢獄まで忠実に造られています。当時の人々のように砂金採りを体験し、レトロな蒸気機関車に乗ってみれば、まるでタイムスリップしたような気分です。
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