映画

ペトラ・フォン・カントの苦い涙

今は亡きニュー・ジャーマン・シネマの鬼才、Ｒ・Ｗ・ファスビンダー監督の代表作の一つで、フラソワ・オゾン監督によるリメイク「苦い涙」の原典に当たる室内劇の傑作。

ニュー・ジャーマン・シネマの鬼才として旺盛な創作活動を繰り広げるも、1982年、37歳の若さで惜しくも急死したファスビンダー監督。そんな彼が自作の舞台劇を映画化し、彼の数多い作品群の中でも出色の傑作として高く評価される代表作の一つ。ファッションデザイナーであるヒロインの仕事場を兼ねた部屋のみを舞台に、複数の女性たちの間で息苦しいまでに濃密で痛切な愛憎劇が展開。M・カルステンセン、H・シグラ、Ⅰ・ヘルマンらの競演に加え、様式美に満ちた構図や室内装飾、衣装、小道具の数々も見もの。