映画

ツユクサ

演技派女優・小林聡美が“現在”を生きる女性をナチュラルに演じたヒューマンドラマ。ある海辺の小さな田舎町で暮らす５０歳を目前にした女性と彼女を取り巻く人々を描く。

「愛を乞うひと」の平山秀幸監督と、本作のオリジナル脚本を執筆した脚本家・安倍照雄という旧知の2人が10年間温めてきた物語を映画化。主人公・芙美を演じる小林は、年齢を重ねて醸し出される雰囲気をまといつつ役を楽しんでいるようなナチュラルな魅力を見せる。芙美が勤める会社の同僚を演じる平岩紙、江口のりこ、芙美と出会う中年男性・篠田役の松重豊といった演技巧者と見せる芝居に思わず引き込まれる。何か大事件が起こるわけではなく、普通の人々の機微を繊細かつ丁寧に描写した平山監督の演出も秀逸。