映画

生きる街

夏木マリが約１０年ぶりに映画の主演に挑んだ、珠玉のヒューマンドラマ。ある海沿いの町で暮らし、東日本大震災で夫を失って生活が一変した女性と周囲の人々の交流を描く。

東日本大震災の際の津波被害から復興しようとしている海辺の町の風景が、まず見る者の心に刺さる。夏木演じる主人公は夫が帰って来ると信じているが、子ども2人と交流できなくなり、3人は別々の町で暮らし……。東日本大震災が日本人同士の関係を壊したという問題を正面から見つめた、考えさせられる1本。実生活でもさまざまな支援活動に尽力する夏木にとっては2008年の「髪がかり」以来久々の映画主演だが、渾身の熱演を見せた。監督は、俳優活動もしながら「捨てがたき人々」などで監督業も手掛ける榊英雄。