映画

たそがれ酒場

一軒の大衆酒場を舞台に、そこに集う人々が織り成す悲喜こもごもの人間模様を内田吐夢監督がさまざまな音楽を織り交ぜながら実験的スタイルで描いた、群像劇の異色野心作。

1955年、13年ぶりとなる監督作「血槍富士」で映画界にようやく復帰を果たした内田吐夢監督が、同作に続いて矢継ぎ早に放った戦後復帰第2作。老若男女が集う一軒の大衆酒場を舞台に、そこで繰り広げられる悲喜こもごもの人間模様を、内田監督が物語の舞台をワンセットに限定し、クラシックから唱歌や流行歌に至るさまざまな音楽を織り交ぜながら、群像劇のスタイルで描き、野心的な傑作に仕上がった。出演は、「限りなき前進」「土」など、戦前の内田作品にも主演した小杉勇をはじめ、津島恵子、丹波哲郎ほか。