下半身不随のレーシングドライバー、青木拓磨。苦渋の日々を乗り越え、アジア最高峰レースへのフル参戦が認められた。走ることに魅せられた、青木の激闘を記録する。
かつてオートバイの世界グランプリで大活躍しながらも、1998年の事故により下半身不随となった青木拓磨。レースへの情熱を捨て切れずに四輪レーサーへ転向したものの、国際格式レースへの参戦すら認められない苦渋の日々を過ごしていた。2014年、そんな青木に16年ぶりのチャンスが巡ってきた。アジア最高峰のレース「GTアジア」へのフル参戦が認められたのだ。20kgのハンドドライブ装置をマシンに積み込み、五体満足なライバルたちとの8カ月にわたる戦い。ハンデはあるものの、何としても結果を残し念願のチャンスを活かしたい。
5月、韓国で開催された第1・2戦。周囲の予想に反し、青木はいきなり連続優勝を成し遂げた。二輪時代に培った命知らずのドライビングで、みごとハンデを覆したのだ。しかし第3戦以降は苦戦が続き、思うような結果が残せない。そこで青木は、自分を見つめ直すために周囲が思いもしなかった行動に出る。
迎えるGTアジア終盤戦。かつて栄光に輝いたレーサーは、16年ぶりのサーキットで復活を遂げるのか?