いまだ多くの謎に包まれる写楽の作品から、戦前に失われた1枚の役者絵をデジタル復元。さらに木版も再現し、当時の鮮やかさを甦らせる。
日本美術の名作を題材に、時間経過とともに失われた色彩や線をデジタル復元することで新たな発見をもたらす“デジタル美術ミステリー”。今回のテーマは、今なお謎多き画家として美術ファンだけでなく歴史ファン、ミステリーファンをも魅了する「写楽」。2013年4月、新しい歌舞伎座が開場。歌舞伎ブームで盛り上がる。「伝統芸能」というイメージで敷居の高い歌舞伎だが、江戸時代は庶民にとって最大のエンターテインメントだった。歌舞伎俳優は今でいう人気スター。彼らが着た衣裳を若者たちはこぞってまねし、しぐさや、舞台演出で食べる食事も人気を得たという。役者絵も大人気だった。中でも人気が高いのは写楽の作品。
今回は写楽が描いた中から、16枚の連作として残る「けいせい三本傘」を題材に、戦前に行方が分からなくなった女形を描いた1枚の復元に挑む。この役者絵からデジタル復元師・小林泰三はどのような発見をもたらすのか?また、小林が推理した色彩をもとに木版職人が復刻した浮世絵も見どころのひとつ。デジタル復元、浮世絵製作の過程から、浮世絵の版元がどのように人気役者の作品をプロデュースしていったのかを推理、発見する。(2013年)
出演
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出演浦沢直樹(漫画家)
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出演田沢裕賀(東京国立博物館 調査員)
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出演いとうせいこう
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デジタル復元師小林泰三
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司会進藤晶子