職場や家庭で“戦力外通告”を受けた50代の男女が、人生を明るく前向きに生きる姿を描いたヒューマンドラマ。
もし、突然、プロ野球選手のように会社から「戦力外通告」を受けたら…。本作の原作は、2001年に「愛の領分」で第125回直木賞を受賞した藤田宜永。都会的なセンスに溢れた人物描写に定評があり、本作でも、50代男女の仕事との関わり、夫婦の絆をリアリティ溢れる筆致で巧みに描き出している。
まだ熱い想いと高い能力があるにもかかわらず、それを発揮する場が失われていくことに怯えながら、この先の長い人生に立ち向かっていかねばならない50代。団塊世代の大量定年の時代を迎えた今、一度は、職場、家庭、さらには人生そのものからも「戦力外通告」を受けた大人たちが、明るく顔を上げて前向きに生きていこうとする姿は、多くの人々の共感を呼ぶことだろう。
<ストーリー>
宇津木秀明(中村雅俊)は、大学卒業後、中堅のアパレル『鳥本』に入社し、以後、家事と育児は妻・恵里子に任せて仕事に邁進、実績もあげ、間もなく重役になる予定だった。しかし、永年にわたり、辛苦を共にして来た創業社長の鳥本光太郎が急死。跡を継いだ息子によって職場で「戦力外扱い」とされ、閑職に追いやられた宇津木は、会社に辞表を叩きつける。ところが、当初は楽観視していた再就職もままならず、昼間の公園では不審人物扱いされるなど、第二の人生はさっぱりうまくいかない。やがて恵里子が働き始めたことで家庭内にも隙間風が吹き始める。そんな時、宇津木は中学校の同窓会に出席。初恋の人で今は主婦である塚本晶子を始め、公務員、大手企業の役員など、様々な人生を生きている同級生たちに再会する。みな、最初は表面上は取り繕っていたが、実は、それぞれが、自分たちの人生における居場所を求めて苦しんでいた。やがて、今はお金も集まらず廃れてきた地元の祭りを一緒に盛り上げようということになり…