映画

シベールの日曜日

戦争による深いトラウマを抱えた男性と、寄宿学校で寂しい思いを募らせる孤独な少女。そんな２人の心の交流をリリカルに描き、第35回アカデミー外国語映画賞に輝いた名作。

戦争中に負った深いトラウマと撃墜のショックで記憶喪失に陥り、周囲に対して心を閉ざしがちの31才の元パイロットと、父親に見捨てられ、寄宿学校で寂しい思いを募らせる12才の少女。親子ほどにも年の離れた2人がふと運命的に出会って心を寄せ合い、自分たちだけの清らかで儚い夢の世界に没入するも、2人の関係を邪推する周囲の人々のせいで悲劇が生じるさまを、S・ブールギニョン監督が硬質なモノクロの映像美で哀切かつリリカルに描写。少女役P・ゴッジの可憐で愛くるしい表情も忘れ難い、珠玉の映像詩だ。