映画

蒲田行進曲

２０１０年に他界した劇作家つかこうへいの直木賞受賞作を映画化。映画の撮影所でスターとその恋人、大部屋俳優が織り成す人間模様を笑いと涙に包んで描いた傑作コメディ。

原作は、映画が活動写真と呼ばれた時代、花形俳優と取り巻きの大部屋俳優、元女優という三角関係を描いて大ヒットした戯曲だが、それを小説化して直木賞を受賞した小説を、原作者のつか自身があらためて現代的な映画に脚本化。深作欣二監督の演出はエネルギッシュなだけでなく活動屋魂がたっぷりで、一流の人情喜劇に仕上げた。映画賞レースではキネマ旬報ベスト・テンなどを総なめに。主演の風間杜夫、平田満、松坂慶子の熱演も印象的。邦画史上屈指の名場面となった“池田屋階段落ち”とともに忘れられない傑作だ。