映画

牛泥棒

それまで西部劇では半ばタブーとされてきたリンチという主題に正面から取り組み、はたして真の正義とは何か、観客に鋭い問いを突きつけた、社会派ウエスタンの先駆的傑作。

第2次大戦のさなか、社会派の名匠W・ウェルマン監督が“リンチ”という重い主題に真っ向から挑み、正義をふりかざして何の合理的根拠もなく私的制裁に走ろうとする人々の群集心理を鋭く照射。発表から半世紀以上を経過した今日なお、その鋭いアクチュアリティと痛烈な倫理性を一向に失わず、マーティン・スコセッシやクリント・イーストウッドらもその普遍的な内容を高く評価している。名優H・フォンダらが共演しながら本邦劇場未公開という貴重作だ。