魅力的な舞台人 インタビュー / 舞台レポート
魅力的な舞台人のインタビューや、話題のステージのレポートをお届けします。
2010/7/14(水)
藤原竜也さんインタビュー
『バトルロワイアル』『デスノート』『カイジ──人生逆転ゲーム』など、密度の高い演技で強烈な印象を残した映画も多いが、やはり藤原竜也には“舞台俳優”という呼び方がしっくり来る。本人にも、その感覚はあるらしい。舞台に立つ意味をたずねると、「自己確認できるんです。ああ、俺はこういうことが出来ないんだ、とわかる」すぐに答えたあと、続けて、
「恥をかきながら──時には罵倒されて──稽古をして、でもそれが確実に次のステップに進むための手段になるんですよね。いい映画やいいテレビもそうなんですけど、(舞台は)稽古場でゼロからつくっていくわけで、ものすごく大変な作業ですからね。(体験として)強いなぁと思います。そして強くなって、弱い自分を確認するんです」
と。決して効率のよくない過程をストイックに積み上げることの意味と価値を、この人は知っている。
その姿勢は当然、3作目の井上ひさし作品となる『黙阿彌オペラ』でも発揮される。演じる五郎蔵は、幕末から明治へと大きく時代が変わる中で、何をやっても裏目に出てしまう不器用な男。生前の井上が「ぜひ藤原君に」と希望した役だ。
「僕が今まで触れたことのない役であり、世界です。でも井上先生がそう言ってくださった理由が、稽古をしながら薄くだけどわかってきました。この作品を成立させることができたら、もっと楽に次のステップに行けるような気がするんですよ。それに、僕の中にもあると思うんです、五郎蔵と同じ、悪いことを頭の中で考えたり、人に流されたりという部分が(笑)」
“舞台俳優”として、さらに強くなる藤原竜也を、きっと私達は目撃できる。
出演舞台:
井上ひさし追悼公演「黙阿彌オペラ」
作:井上ひさし
演出:栗山民也
出演:藤原竜也 / 北村有起哉 / 大鷹明良 / 松田洋治 /朴勝哲 / 熊谷真実 / 内田慈 / 吉田鋼太郎
期間:2010年7月18日(日) 〜 8月22日(日)
会場:紀伊國屋サザンシアター