<独占生中継>エキサイトマッチスペシャル
全勝メイウェザー、次世代のスター候補オルティスと激突!
WBC世界ウェルター級タイトルマッチ
元5階級制覇チャンピオン
フロイド・メイウェザー
(アメリカ)
WBC世界ウェルター級チャンピオン
ビクター・オルティス
(アメリカ)
5階級制覇の天才 VS 上昇気流に乗る24歳
スピードとテクニックに王者はパワーで対抗か
オルティスの持つWBC世界ウェルター級タイトルにメイウェザーが挑戦する構図だが、両者の過去の実績や知名度などを考えると主役がメイウェザーであることに異論を挟む余地はあるまい。そしてオルティスがサウスポーの好戦的な選手であることなども考慮すると、その先に待望のスーパーファイトが薄っすらと見えてもくる。6階級制覇チャンピオン、サウスポーのマニー・パッキャオ(フィリピン)との頂上決戦である。メイウェザーの究極のライバルと目されるパッキャオは11月12日(日本時間13日)、今回の試合と同じラスベガスのMGMグランド ガーデン・アリーナでファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)の挑戦を受けることになっている。
メイウェザー、オルティスを傘下に置くゴールデン・ボーイ・プロモーションズ(GBP)と、パッキャオ、マルケスを擁するトップランク社はすでに下交渉に入っていると伝えられる。WBCチャンピオンとWBOチャンピオンによる世界ウェルター級王座統一戦は、来年5月が有力とも噂されている。
はたしてメイウェザー対パッキャオという待望の組み合わせになるのか、それとも異なったカードになるのか。まずは今回のメイウェザー対オルティスに注目したい。
S・フェザー級からS・ウェルター級までの5階級で世界タイトルを手に入れた実績を持つメイウェザーは、今年2月で34歳になった。07年以降はブランクと復帰を繰り返しており、今回は昨年5月のシェーン・モズリー(アメリカ)戦以来、1年4ヵ月ぶりのリングである。96年のプロ転向から15年、ほとんどダメージのないまま41戦全勝(25KO)という完璧なレコードを残している天才にとって、少々のブランクは問題なしとみて差し支えないだろう。むしろ適度な休養とプラスに理解した方がいいかもしれない。
メイウェザーは「時空を自在に操る」とまで言われる万能型。とにかくパンチもステップもボディワークも速く、相手から「スピード違反」の声があがるほどだ。ディフェンス力、耐久力の面でも秀でたものがある。モズリー戦では2回に相手のベスト・ショットを2発浴びながらダウンに至らなかったほどだ。ただし、そのタフネスを讃えるか、クリーンヒットを許した点を不安視するかは見解の分かれるところかもしれない。
オルティスはチャンピオンでありながら脇役に甘んじた感があるが、この男を侮ることは危険だ。今年4月、27戦全勝(21KO)と破竹の勢いにあったアンドレ・ベルト(アメリカ)とのダウン応酬の激闘を制して戴冠したことで、自信も評価も急上昇中なのである。スター選手が持つストーリー性という点でも話題にこと欠かない。メキシコ移民の両親のもとカンザス州ガーデンシティで生まれたオルティスは7歳で母親と、13歳で父親と生き別れている。姉と弟の3人で過酷な少年期を送ったことは多くの人が知るところだ。アマチュアで161戦141勝20敗の戦績を残して17歳でプロデビュー。トップランク社を経て3年前にGBPに移籍している。
生来の右利きをあらためたサウスポーの好戦的なボクサーファイター型で、左ストレートと右フックは破壊力抜群だ。耐久面に課題はあるものの、ベルト戦では2度のダウンを跳ね返すなど危機対応力は身につけている。
オッズ(賭け率)は当初の12対1から8対1、7対1、さらに13対2と、メイウェザー有利は変わらないものの試合が近づくにしたがって少しずつ差が縮まっている。パッキャオ対マルケスが8対1(パッキャオ有利)であることを考えると、オルティスの評価の高さが分かるだろう。10歳若い点やサウスポーのアドバンテージがある点などが期待値として表れているのかもしれない。
これまでの試合同様、メイウェザーがスピードとテクニックで翻弄する可能性は高いといわざるを得ないが、番狂わせの可能性も決して低くはないように思える。特にオルティスが前半に右フックを軸にした猛攻を仕掛けると面白い展開になるのではないだろうか。いずれにしても序盤から目の離せない試合になるはずだ。
メイウェザー&オルティス データ比較
メイウェザー | オルティス | |
---|---|---|
生年月日 | 1977年2月24日/34歳 | 1987年1月31日/24歳 |
出身地 | アメリカ・ミシガン州 | アメリカ・カンザス州 |
アマ戦績 | 90戦84勝6敗 | 161戦141勝20敗 |
アマ実績 | アトランタ五輪 フェザー級銅メダル 全米選手権優勝 全米GG大会優勝 |
|
プロデビュー | 96年10月 | 04年6月 |
獲得王座 | WBC S・フェザー級 WBC ライト級 WBC S・ライト級 IBF ウェルター級 WBC ウェルター級 WBC S・ウェルター級 |
WBC ウェルター級 |
プロ戦績 | 41戦全勝(25KO) | 33戦29勝(22KO)2敗2分 |
KO率 | 約61パーセント | 約67パーセント |
身長 | 173センチ | 175センチ |
リーチ | 183センチ | 178センチ |
トレーナー | 父フロイド(元世界ランカー) 叔父ロジャー(元2階級制覇王者) |
ダニー・ガルシア |
Written by ボクシングライター原功
マニー・パッキャオ
ウェルター級トップ戦線の現状
WBA:ビアチャセラフ・センチェンコ(ウクライナ)
WBA暫定:イスマエル・マスーディ(フランス)
WBC:ビクター・オルティス(アメリカ)
IBF:ヤン・ザベック(スロベニア)
WBO:マニー・パッキャオ(フィリピン)
チャンピオンのなかではパッキャオが圧倒的な存在感を示しており、若くて潜在能力の高いオルティスが続いている。
このクラスはむしろランカー陣の方が充実している感がある。5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(アメリカ)、オルティスに王座を追われたアンドレ・ベルト(アメリカ)、全勝の長身強打者マイク・ジョーンズ(アメリカ)、そして11月12日にパッキャオとの3度目の対決を控えるWBC・WBO世界ライト級チャンピオン、ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)。
パウンド・フォー・パウンドの上位に名を連ねる猛者が集う147ポンド級(66.6キロ=ウェルター級)。今回のメイウェザー対オルティス、11月のパッキャオ対マルケスIIIを経て頂上決戦に駒を進め、最後に笑うのは――。