ポルトガル代表のFWナニは、優勝候補のスペイン代表との準決勝まで2日となった25日、スポルティング・リスボンのユースチーム時代からの恩師であるパウロ・ベント監督との師弟関係を改めて説明した。
ナニは2005年夏、スポルティング・リスボンのトップチームの指揮官に昇格したベント監督によりユースチームから引き上げられると、初年度からいきなりレギュラーとして重用された。その2年後には若干20歳でマンチェスター・ユナイテッドへと移籍し、現在はポルトガル代表のレギュラーにも定着したナニは、自身を公私共に成長させてくれたベント監督に今大会で何とか恩返しがしたいとの強い意思を示した。
「今の自分があるのはベント監督のおかげだ。彼は僕に対して、扉を開けてくれただけでなく、狭かった視野を広げてくれた。また、代表でプレーしたいならば、いくつかの事を変えなければならないということを気付かせてくれた。私生活に関しても多くのアドバイスを送ってくれ、そのおかげで僕は自分が行っていた誤りを幾度となく正すことができた。これまで常に僕のことを信じてきてくれた監督のためにも、最高のプレーをしたい」
カーボベルデ共和国出身のナニは、幼少期に旧領主国であるポルトガルの首都リスボンの郊外にあるアマドーラに移住したものの、自身が育った地域は極めて治安が悪かったとのことで、少年時代をこう振り返った。
「あそこでの暮らしは本当に厳しかった。発砲事件などは日常茶飯事で、暴力が蔓延していた。自分も若い頃は、一緒につるんでいた仲間と共に地元の大きなギャング集団に入っていた。そのうち何人かは、今も刑務所にいるよ。僕にとってフットボールは、そういった生活から逃れるための唯一の手段だった」
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