映画史に名を残す不世出の剣戟スター・阪東妻三郎。近年発見されたフィルムに残されていた彼の意外な姿から、知られざる“バンツマ”の壮大な夢と野望を浮き彫りにする。
大正から昭和にかけて活躍した、日本映画界を代表する剣戟スター“バンツマ”こと阪東妻三郎。2014年、彼の四男で俳優・田村亮の息子、田村幸士が祖母から譲り受けて保管していた、80年以上前に撮影された貴重なフィルムが復元された。そこに写っていたのは、李氏朝鮮の最後の皇太子で、日韓併合後、皇族に準じる待遇を受けた“李王殿下”こと李垠を平身低頭もてなすバンツマの意外な姿だった。彼はなぜ、李王殿下を自分のスタジオに招いたのか?これより以前、20代で日本初の独立プロダクションを設立したバンツマは、海外進出を希求しアメリカの映画会社と2度提携する。だが、最初は運営上の見解の違い、2度目は作品の不発から早期に提携を解消していた。李王殿下を招いたのは、実はその直後のこと。このことから、フィルムに写ったバンツマの行動の意味が見えてくる。時代を先取りし、世界に出ようとあがいたバンツマの夢、野望の軌跡を描く。
出演
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語り大森南朋